凶が出たって心配なし!初詣前に読んでおきたい「おみくじ」大全
今年も残りわずか。来る2020年最初のイベントといえば「初詣」、そして「初詣」といえば「おみくじ」ですよね。吉凶を占うものとして扱われがちな「おみくじ」ですが、実は悩みや迷いを解決に導くヒントが記してあるんです!おみくじ研究の第一人者である平野多恵先生(成蹊大学 文学部教授)に、その読み解き方を伝授してもらいました。さっそく、未来をひらく「おみくじ」の正体に迫ってみましょう。
作法は大事!まずは参拝
おみくじは元来、吉凶の運勢を占うものではなく、神さま・仏さまからメッセージ(お告げ)をいただく方法のひとつです。
そのため、神社仏閣に着いたらまず、お告げをいただく神仏がおまつりされているところで参拝をします。
引く時は「気持ちを集中する」べし!
心を込めて参拝をしたら、いよいよおみくじです。
おみくじを引く時、もっとも重要なのは自分の状況や課題、悩んでいることを心に浮かべて気持ちを集中すること。例えば「どうしたら良縁に恵まれますか」「転職するべきでしょうか」「試験に合格するには、どうしたらよいでしょうか」など、具体的に心の中で唱えながらおみくじを引きます。
悩みや迷いを明確にすることで、おみくじに記してあるお告げがより現実的に読み解けるようになるからです。
<平野先生のワンポイントアドバイス>
おみくじを引くための神社仏閣の選び方
「自分が心地いいと感じた神社仏閣でおみくじを引くのがベスト。恋愛や仕事、お金など悩みによってご利益のある神社仏閣に参るのも手ですが、インターネット検索してピンときた神社仏閣でおみくじをいただくのもよいと思います。自分の感性に反応したところが、ご縁のある神さま・仏さまです」
おみくじの基本構成を知ろう
おみくじで肝となるのは、問いかけたことに対する「お告げ」が記された部分。お寺で引いたおみくじの場合のそれは「漢詩」であり、神社の場合は「和歌」にあたります。
漢詩や和歌と聞くと、古文が分からない…と諦めがちですが心配は無用。最近のおみくじには、現代語訳や解説が付いているものがほとんどなので、歌のおおまかな意味は分かるようになっています。
それでは実際に2つの神社で引いたおみくじを使って基本構成をチェック!
おみくじの読み解き方
実際のおみくじを使って読み解き方をご紹介します。今回は“どうすれば良縁に恵まれるか”という悩みでおみくじを引きました。
読む順は「和歌」→「和歌の解釈」→「項目」です。待人や失物といった項目はすべて読む必要はなく、吉凶はあくまで目安と考えるのが平野先生流です。
<平野先生のワンポイントアドバイス>
おみくじには「開運アイテム」も示されている!
「占いでよく見かけるラッキーアイテム。実は、おみくじにも“開運アイテム”が隠れているんです!それは和歌の中。おみくじを引いたら、ぜひ確認してみましょう」
左のおみくじの開運アイテムは「うめ」、右は「庭」や「草」となります。例えば「うめ」なら、梅の香りが◎、梅のモチーフが入ったハンカチや梅のキャンディなどもオススメです。
おみくじは持ち帰るのが平野式
おみくじでヒントを得たら、必ず神さま・仏さまへのお礼を忘れずに。神社やお寺をあとにする時は、“お告げをいただきありがとうございました”という気持ちを込め本殿に向かって一礼しましょう。
また、引いたおみくじを結ぶ・持ち帰るというならわしには諸説ありますが「持ち帰る」のが平野先生流。「おみくじは、神仏からあなたへのメッセージです。どんな結果であっても、じっくり読んで意味を考え、折に触れて読み返すのもおみくじの楽しみ方です」と平野先生。
おみくじは単なる「運試し」ではありません!
初詣だけでなく、悩みや迷いがあったら引いてみましょう!本を片手におみくじ巡礼の旅にでかけてみては?
監修:平野多恵 HIRANO Tae
東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在は成蹊大学文学部教授。日本中世文学、おみくじや和歌占いの文化史を研究。全国各地のおみくじの和歌が50首解説された著書『おみくじの歌』(笠間書店)、『神さまの声をきく おみくじのヒミツ』(河出書房新社)も発売中。
Text:村田智子(vivace)
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