青春18きっぷ旅の魅力って?鉄道旅のプロに聞く!【後編】
2020年夏の青春18きっぷの利用がいよいよ7月20日からスタート!前編に引き続き、青春18きっぷで行く旅の魅力を、鉄道旅初心者の「るるぶ&more.」編集部・小野さんが、鉄道旅のプロJTB時刻表の大内編集長と私、旅の文筆家の蜂谷に聞いていきます。 後編では、実際に今まで鉄道旅で行って良かった場所や、おすすめの駅弁などをお話ししていきます。これを見れば、鉄道旅に行きたくなること間違いなしです!
思い出の観光地は…「モグラ駅」?!
前編では、鉄道旅の自由さ、一人旅だからこそ出会える魅力などについてお話してきました。
さて、後編では、小野さんが私たち2人に、旅の思い出を聞いていきますよ!
小野)これまでに行ってよかった観光地や路線などはありますか?
大内)私は、一人旅ならとことん「一人」を感じられるところが好きなんですよね!群馬県の上越線の土合駅(どあいえき)は「日本一のモグラ駅」として有名で、地下のトンネルのホームから地上に出るまでに、計486段の階段を上る必要があります。
小野)えぇ、そんなに!「モグラ駅」…。たしかに地下に深そうな名前ですね。
大内)ただ、有名すぎて人が多いんですよ。だけど、同じくトンネル内にホームがある、隣の(群馬県の)湯檜曽駅(ゆびそえき)は、誰も行かないので秘境感を感じられます。次の列車が来るまでの1、2時間をトンネル内でぼーっと過ごしてます。この世界に自分しかいない感じになれるのが楽しくて、心が洗われる感じがします。
小野)そんなところにずっといるんですか?すごいです!一人だからこそですね!(笑)
大内)あとは、飯田線(愛知県豊橋~長野県岡谷)のトンネルに挟まれた断崖絶壁の田本駅(たもとえき)が大好きです。まわりに何もなくて、耳が張り裂けそうなくらい静かな駅なんです。女性の一人旅でも「人間が自分しかいない」感じを経験してみて。非日常の空間で一人っていうのはすごい緊張感と解放感があって、あっという間に時間が過ぎますよ。
小野)蜂谷さんが今まで行って良かったところはどこですか?
蜂谷)私は、前に母親と秋田県の角館に行ったところ、とても好評でした。武家屋敷群が並んでいるなかをレンタサイクルして、昼食には稲庭うどんを食べました!
小野)角館は、地元の宮城にいた頃、毎年お花見シーズンに行っていました!武家屋敷の街並み、私も大好きです。
蜂谷)東北を手軽に旅するなら、盛岡駅前でわんこそばチャレンジも楽しいですよ!私、111杯食べたんです!この写真見てください!
大内)111杯?!ほんとに?すごいですね~!
小野)大内編集長にもチャレンジしてほしいです!(笑)
大内)あと、東北や関西の方に行くなら、新幹線や飛行機で現地に行き、そこから青春18きっぷを使い始めるのもおすすめです。そこで青春18きっぷを使って一日楽しめばいいんですよ。
小野)たしかに!ほかの公共交通機関と組み合わせれば、北海道とか九州とか、行ける範囲も広がりますね。
蜂谷)大分に高崎山動物園という野生の猿がたくさん見られるスポットがあるので、その時は博多まで新幹線で行きました!ショーもやっているのですが、なんせ野生の猿なので、全然言うこと聞かないんですよ。
小野)わぁ、本当に猿がいっぱいいる!可愛いですね!
ドアで手渡し!できたての駅弁が食べられる?!
小野)旅となるとやっぱりグルメは外せませんよね。鉄道旅といったら駅弁も気になりますが、何かおすすめはありますか?
蜂谷)せっかくなので、一風変わった駅弁をご紹介しますね。これが、北海道の根室本線の池田駅「ステーキ弁当」です。駅前にあるステーキ屋さんが作っているもので、お店まで買いに行かなくても、事前に連絡をしておくと、列車まで届けてくれるんです。
小野)届けてくれる?もしかして、できたてですか?
蜂谷)そうです!列車のドア部分で代金とお弁当を交換して受け取れます。同じようにドア越しに購入できる駅弁だと、島根県の木次線(きすきせん)亀嵩駅(かめだけえき)があります。駅にお蕎麦屋さんがあるのですが、「そば弁当」をドアまで届けてくれます!
小野)乗り換え時間が限られている青春18きっぷユーザーにとっては、降りなくてもいいっていうのは助かりますね!
大内)私、食べ物を売っているところに全然出会えなくて、半日以上何も食べられなかったことがあります(笑)。そのとき感じた教訓は、大切なのは東京駅などの出発駅で何か買うこと。行った先でいいお店があればそこでまた買えばいいと思います。
小野)なるほど!特に長い旅だと念のため食料を準備しておくと、いざという時も安心できそうですね。
大内編集長のおすすめの駅弁はありますか?
大内)私、結局かつ丼とか、女子受けしなさそうなものが好きなんですよね…。あ、でも地味に東京駅の「チキン弁当」が好き。
蜂谷)え、大内編集長あれが好きなんですか?!(笑)でもたしかに、一定以上のおじさまとか好きな人多いですよね。
大内)すごいシンプルなんですけどね。唐揚げと、ケチャップライスのお弁当で、めちゃくちゃ子どもが好きな味がします。あと、メジャーな駅弁は本当においしい。たとえば、横河の「峠の釜めし」とか、高崎の「だるま弁当」とか。
大内)あれ、高崎駅って「上州の朝がゆ」まだ売ってたっけ?(時刻表めくり始める)
蜂谷)あ~!どうでしたっけ!(時刻表めくり始める)
小野)…。(え、なんで2人突然時刻表見てるんだろう…、こわいこわい!)
★JTB時刻表にはどの駅でどんな駅弁が売っているかが書いてあるんですよ★
車内でお酒が楽しめる“走る酒蔵って?
小野)では、青春18きっぷ初心者におすすめの場所やコースなどを教えてください。
蜂谷)「青春18きっぷで旅をしている」感を味わいたいときは、先ほど大内編集長が話していた飯田線がおすすめです。全長200キロ近くあるのですが、乗り換えなしでおよそ6時間、乗り通しの鈍行旅が味わえます。しかも沿線には、絶壁絶壁の田本駅や、味わいある木造駅舎の小和田駅(こわだえき)などの有名秘境駅がたくさん!東京から日帰りで行けるのもポイントです。
それから、景色を楽しみたい人には、日本海や白神の山々などの美しい風景を満喫できる、東北の五能線が鉄板です。「リゾートしらかみ」という観光列車が走っていて、車内では津軽三味線の生演奏などの伝統芸能プログラムも楽しめるんです!途中の「千畳敷」で長めに停車してくれるので、その間に海岸まで出ることもできますよ。
小野)大内編集長のおすすめも知りたいです。
大内)私は1泊2日の行程案を作ってきました!まず上野を出発して、先ほど紹介した土合、湯檜曽で下車。越後湯沢から、お盆限定の観光列車「ゆざわShu*Kuraしゅくら」に乗車します。この列車、すごいんですよ!車内で新潟のいろんなお酒が楽しめるんです。
小野)わぁ、素敵!お酒が飲める列車ですか?まさに「移動の時間も含めて観光」って感じですね!
大内)まぁ私は飲まないで列車を楽しむだけなんですけどね。お酒好きの人にはたまらないと思いますよ!途中、長めに停車する青海川駅は、日本海が目の前にあり、だんだん夕方になっていく景色が見られます。1日目は終点の上越妙高で終了。翌日は、飯田線で秘境駅探訪。最後は疲れ果てて、東海道本線の普通列車のグリーン車自由席で帰ります。
さあ、青春18きっぷで女子一人旅をはじめてみよう!
小野)最後に青春18きっぷで一人旅を始めようと思っている方に向けて、一言お願いします。
蜂谷)初心者の方は、乗ったことないから行ったことないから不安になっているのだと思います。だから、とにかく出かけてしまうのがいいと思います。
大内)日本の鉄道会社は本当に親切なので、不安を感じることなんてまったくありません!それに、もしわからないことがあったら駅員さん車掌さんに聞いてみてください。聞くのも鉄道旅の醍醐味ですよ。
小野)ハードルは思っているよりも高くないのかもしれないですね。まずは行ってみよう!ですね。
あなたは何線ユーザー?鉄道モチーフの料理とドリンクにわくわく!
今回撮影場所としてお邪魔した「鉄道居酒屋LittleTGV」。実際の電車のシートを使った席や鉄道模型などがあり、旅行気分を味わうことができちゃいます。こちらのお店では、鉄道モチーフの面白いメニューがあるということで、実際にいただいてみました!
大人も頼める「NAERお子様プレート」は、電車のプレートに、唐揚げや海老フライ、フライドポテトにケチャップライスが詰められています。子どもが大好きな定番メニューは、いくつになっても好きな味ですよね。「密着連結たまご焼き」は、見た目の可愛さだけでなく、海苔でできた線路にも驚かされます。芸が細かい!ふんわりだし巻きたまごは、大根おろしとともにさっぱりいただきました。
大内編集長、今日イチいい顔です!
ドリンクメニューの名前も路線の名前になっているんです!メトロ各線や、新幹線の名前のカクテルのほか、鉄道の名前がついたノンアルコール電車カクテルも!自分がいつも使っている路線のお酒を楽しんでみるのもいいですね。
■物件名 鉄道居酒屋 Little TGV
住所:東京都千代田区外神田3-10-5イサミヤ第3ビル4階
TEL:03-3255-5223
営業時間:平日 18~23時(22時30分LO)、土曜 16~23時(22時30分LO)、日曜 12~21時(20時30分LO)
定休日:月曜
営業時間は変更の可能性があります。事前に店舗にご確認ください。
さて、前編後編2回にわたりお届けしてきた、「青春18きっぷの魅力を鉄道旅のプロに聞く」対談企画。電車で行く旅の魅力は伝わったでしょうか?
ついに次回からは、編集部・小野さんが、実際に青春18きっぷを使って初の一人旅にチャレンジします!なんでも、絶景天空カフェのあるあの駅や、餃子のおいしいあの街に行ってみるのだとか…!ぜひ楽しんできてくださいね!
Text:蜂谷あす美
Photo:眞野邦生
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。