
京都の寺院共存型ホテルで「朝のお勤め」を体験してみた!【御朱印女子の宿泊レポ】
まもなく紅葉の時季を迎える京都。豊臣秀吉によって町中のお寺が一つの通りにまとめられた四条河原町の「寺町通」に、2020年9月28日、「浄教寺」と一体化した新ホテル「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」が誕生しました。 570年の歴史をもつ「浄教寺」で貴重な「朝のお勤め」も体験でき、参加者は御朱印も授けてもらえるそう!普通のホテルでは味わえない、京都の歴史を感じる宿泊レポをお届けします。
Summary
my御朱印帳と一緒に、いざ京都へ出発!
何を隠そう筆者は御朱印女子。これまで都内のさまざまな神社や寺を巡り、珍しい御朱印を集めてきました。「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」ではお寺の「朝のお勤め」に参加した宿泊者限定でオリジナルの「御朱印」をお授けいただけるという情報を聞きつけ、人知れず大興奮……。自前の御朱印帳をリュックに忍ばせ、張り切って新幹線に飛び乗ったのでした。
阪急京都本線「京都河原町駅」から徒歩約1分
ホテルがあるのは、阪急京都本線京都河原町駅から徒歩約1分の好立地。周囲には史跡や老舗が立ち並び、徒歩圏内には昼夜問わず賑わう四条河原町や先斗町、祇園の街が。京都観光の拠点にするにはうってつけの場所です。
570年の歴史があるお寺が、なぜホテルに?
ホテルに併設する「浄教寺」は1171年~1175年頃、平清盛の長男・平重盛によって創建されました。正式名称は「多聞山鐙籠堂浄教寺」。国宝の三門で有名な知恩院を総本山とする浄土宗のお寺です。
豊臣秀吉が京都の寺をひとところに集めた「洛中寺社整理」により、1591年に現在の地に移転しました。徒歩約12分の場所には織田信長が討たれたことで知られる本能寺も……と聞くと、胸が高鳴る歴女もいるのでは?
これからの時代にフィットした形でこの歴史的なお寺を守り続けるため、このたび「次世代に向けた寺のホテル」として再出発しました。
お香漂うホテル。まるで静謐な美術館のよう
高さ約7m・2層吹き抜けの開放的なロビーへ入ると、真っ先に上品なお香が鼻孔をくすぐります。お香は京都駅にも店を構える「松栄堂」のものだそう。「そうだ、ここはお寺なのだ!」と改めて背筋が伸びました。
お寺は一旦は取り壊されたものの、ホテルの中には「浄教寺」で使われていた古木や装飾品などが随所に配されています。黒色で統一され、余分な華美のない空間は、まるで美術館のよう!
ロビーで流れるオリジナルBGMは、お寺のイメージでサンプリングされた音源。なんと、仏具の「おりん」や、寺の庭を掃く音などを集めているのだとか。高い天井からBGMが上から降ってきて、瞑想しているような感覚にとらわれました。
デザインコンセプトである「余白を大切にした、詰め込まない世界」が館内全体に見事に体現されていて、お見事。
襖・手水鉢・灯籠でお寺をイメージした客室
今回宿泊したのはモデレートクイーンタイプの部屋。襖(ふすま)や、浄教寺の象徴である灯籠をモチーフにした照明、墨で描かれた絵などがあり、お寺ならではのそこはかとない品と静寂に包まれていました!
ドアからベッドへの導線上に置かれたアウトべーシンスタイルの洗面台は、お寺の手水鉢から着想したユニークな形状。大浴場が2階にあるため客室内はシャワーブースのみです。
浄教寺の象徴である灯籠をモチーフにしたライト(写真)やルームナンバーのサインも発見!
このほかには「ツインルーム」と、女子旅需要が高い「トリプルルーム」があります。
思わず瞑想したくなる大浴場⁉
宿泊者専用の大浴場も行ってびっくり、シンプルを極めたお寺の雰囲気を纏っておりました。水墨画を思わせる光壁アートと手水鉢のオブジェが暗がりの浴室内に浮かび上がり、とても神秘的。静かなBGMに耳を傾けながら、浴槽の中で目を閉じて軽く瞑想タイム……!
京都の町寺の朝のルーティーン!貴重な「朝のお勤め」体験
ひと晩明けたら、いよいよ「浄教寺」での「朝のお勤め」体験の時間です!早朝6時40分にホテルロビーに集合すると、この日は10人ほどの参加者が集まっていました。ホテルを出て、敷地内のお寺の本堂へ向かいます。
この体験を目的に「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」を選ぶゲストも多いのだとか。毎朝定員は20名、参加料は300円(中止になる場合もあるので、詳しくはホテルに問い合わせを)です。
ご住職のお経を聞きながら、参加者一同、静かに椅子に座りお祈りします。そして、順番が来たら静かに席を立ってお焼香。
「朝のお勤め」中は、欄間の彫刻や柱、仏様を取り囲む灯籠の美しさに見惚れていました。一見きらびやかですが、よくよく見ると、かなり古いものであることが分かります。ご住職が唱える念仏、木魚、おりんの音に包まれ、早朝の清々しさも手伝って、凛とした心持ちに!
終了後、ご住職の光山さんはこう語ってくれました。
「全国にお寺は7万5000から7万7000ほどあると言われ、その数はコンビニを上回るほどです。そこではほぼ例外なく、こうして朝の6時から7時の間に、ご住職さんが朝のお勤めでお経をあげられています。大半のお寺は『浄教寺』のように小さな町寺です。参加していただければ、お寺の多い京都の朝のルーティーンを垣間見ていただけるかと。皆さまと貴重なご縁を結べることを楽しみにしております」
京都名物が散りばめられた朝御膳をミシュラン掲載店で
ホテルステイのお楽しみの一つといえば、朝ごはん!ミシュラン掲載実績のある福岡県・糸島発の和食の名店「僧伽小野 京都浄教寺」(ホテル2階)でいただきます。福岡本店に次ぐ2号店として、このたび県外初出店を果たした注目店です。
メイン料理は「僧伽ちらし」「鰻の玉子とじ」「鰻のかぶら蒸し」「天ぷらと鯛茶づけ」の4種類から一つを選択するスタイル。それぞれデザートも異なるので、どれにしようか朝から真剣に悩んでしまいました!
イチオシは、季節野菜を約20種類ちりばめたメイン料理「僧伽ちらし」を含む朝御膳「紫雲」。浄土の世界観を表現した色鮮やかな見た目と野菜の旨み・深みを堪能できます。
もう一つの朝御膳「青蓮」2000円のメインは、鰻料理(鰻のかぶら蒸し or 鰻と牛蒡の玉子とじ)。デザートは「紫黒米のムース~宇治抹茶ソースわらび添え、カカオニブと~」です。この店の料理長は船場吉兆で腕を振るった経験もあり、鰻、スッポン料理が得意なのだとか。鰻は季節に合わせて一番美味しいものを提供しているので、気になる人はこの「青蓮」を選んでみるのもアリかと。
いずれの朝御膳も、生麩や九条葱、湯葉、宇治抹茶など京都の食材を使い、お寺の精進料理や福岡の郷土料理の要素も取り入れたプレート形式です。共通で、「浄教寺のお椀」「胡麻豆腐」「本日の焼き魚」「生麩田楽」「牛蒡有馬煮」「前茶葉の菊花白和え」「ご飯のお供3種」など、これでもかと小皿がついてくるので朝からワクワク!
レストランは宿泊者以外も利用できます。昼食ではミシュラン掲載店「赤間茶屋 あ三五(あさご)」直伝の手打ち蕎麦などを、夕食では料理長こだわりのすっぽん料理をはじめ、鰻やハモなど旬の食材を用いたコース料理などを楽しめます。
「朝のお勤め」参加者限定のオリジナル御朱印
2日間、京都観光もしっかり楽しみ、早くもチェックアウトの時間(~11時)。忘れてはならないのが、「朝のお勤め」に参加した宿泊者だけが手にできるオリジナル御朱印です。事前に渡していた御朱印帳を、キーを返す際にフロントで受け取りました。
いったいどんな御朱印なの~⁉
なんと力強い墨文字!その背景には「浄教寺」の象徴である灯籠の印が。選ばれし者(=宿泊+お勤め参加者)しか手にできないこのプレミア感よ……!御朱印女子の筆者は満足感に少し震えてしまいました。
「浄教寺」のご住職が44代目というだけでも歴史の重みを実感せずにはいられない、京都という特別な街。この秋は、これからも未来永劫繰り返されていくであろうお寺の朝のルーティーンを体験しに行ってみてはいかが?
「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」
住所:京都市下京区寺町通四条下る貞安前之町620番
電話番号:075-354-1131
チェックイン:15時~
チェックアウト:~11時
料金:「モデレートクイーン」1室1泊素泊まり7,020円~
「僧伽小野 京都浄教寺」
電話番号:075-708-8868
営業時間:朝食6時30分~11時(最終入店 10時30分)、11時~15時30分(最終入店 14時30分)、17時~21時30分(最終入店 20時30分)
休み:なし
Text:mogShore