刀剣&歴史好きは必見!「ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」
兵庫県・神戸市にある兵庫県立美術館では、2022年9月10日(土)〜11月20日(日)まで、「ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」を開催中。軍記物語や武勇伝説などに登場する英雄たちをテーマに、浮世絵や刀剣、刀の鍔(つば)などがたっぷりと鑑賞できる展覧会の様子をレポートします!
Summary
「ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」のみどころは?
展覧会には、英雄たちが活躍する姿を描いた武者絵が多数出品されています。ボストン美術館が所蔵する浮世絵は118点、国内所蔵の浮世絵は3点の合計121点!ボストン美術館蔵の武者絵は、なんとすべてが日本初出品ということですから、とっても貴重な機会です。
ボストン美術館所蔵の刀剣がまとまって展示されるのは約半世紀ぶりという点もみどころの一つ。今回はボストン美術館所蔵の平安時代から江戸時代までの刀剣20口に加え、国内所蔵の刀剣6口も展示されているので、刀剣女子はぜひともお見逃しなく!
展覧会は9つのテーマに分かれていて、『古事記』や『日本書紀』に登場するスサノオノミコトや雄略天皇などを描いた作品がテーマの「神代の武勇譚」のほか、「平安時代の武者」「源平時代の英雄」「鎌倉時代の物語」「『太平記』の武将たち」「川中島合戦」「小説のヒーローたち」「ボストン美術館の名刀」「兵庫県と関連のある作品」で構成されています。
今回の展覧会は全作品写真撮影OK(動画・パノラマ撮影、照明・フラッシュは禁止)。ぜひお気に入りの作品をカメラに収めてくださいね!
有名浮世絵師たちが描いた迫力ある武者絵と美しき刀剣の数々
121点が展示されている武者絵の中には菱川師宣、北尾政美、歌川国貞、歌川国芳、歌川広重、月岡芳年といった有名浮世絵師たちが描いた作品がずらりと並んでいます。歴史や刀剣好きのワクワクが止まりません。
スサノオノミコトといえば、天照大神(あまてらすおおみかみ)の弟で、ヤマタノオロチを酒に酔わせて退治したストーリが有名ですよね。こちらは歌川国芳が江戸時代に制作した《武勇見立十二支 辰 素盞雄尊》で、辰を見下ろすスサノオノミコトの雄々しさが伝わってくる作品です。
月岡芳年が手がけた《明治十五壬午季秋絵画共進会出品図 藤原保昌月下弄笛図応需》。笛を吹きながら夜道を歩く藤原保昌に、盗賊の袴垂が襲い掛かろうとするのですが、藤原保昌の近寄りがたいオーラに圧倒されて体が思うように動かず……。屋敷に着くと、藤原保昌は袴垂に衣服を与え、もう盗賊はやめろと諭して帰らせたというお話。そんな二人を描いた絵は、月岡芳年の代表作の一つです。
古典にあまり詳しくないという方もご安心を。作品のテーマとなっている物語の概要を説明した4コマ漫画も展示されています。端的な説明でとても分かりやすく、読めばより作品への理解が深まりますよ。
「源平時代の英雄」では、『平家物語』や『源平盛衰記』などの源平合戦を題材とした作品を紹介。中でも源義経(牛若丸)と弁慶が描かれた浮世絵は、その華やかさが印象的でした。
二人の姿をデザインした剣の鍔(つば)も一緒に展示されているので、ぜひ細かな意匠をじっくりと堪能してください。
同じフロアには、義経が所持していたと伝えられている刀を展示。「膝丸」の異名を持つ《刀 折返銘 長円(薄緑)》は、ゲームやアニメ、舞台でおなじみの刀剣乱舞ファンならぜひともチェックしておきたいところです。
展示されている刀剣は、先ほど紹介した《刀 折返銘 長円(薄緑)》(個人蔵)も含めて全部で26口。それぞれの刀の形やデザインを見比べると、違いがよく分かるので、刀剣鑑賞をより一層楽しめます。
《刀 金象嵌銘 光忠》は、鎌倉時代につくられた刀。流れるようにすっきりとした形に、細かい刃文がとっても美しい!
《太刀 銘 国俊》は上杉謙信の愛刀である重要美術品。身幅が広く、力強さが感じられる刀です。
《太刀 名 備州長船倫光》は、南北朝時代の備前長船派の兼光の門人、あるいは弟と伝えられる刀鍛冶・倫光が手がけた刀。この太刀は刀を短くするための加工が施されていますが、南北朝時代の刀は身幅が広く、90cmを超える大太刀が多く、こちらも彫物の位置から、当初は80cmほどの長い太刀だったことが分かっています。
このように、時代によって製法や形、デザインが異なるところも日本刀のおもしろさの一つですね。
展覧会を存分に楽しみたいなら音声ガイドの利用がおすすめ!
もっと刀剣や浮世絵の世界をたっぷりと堪能したいという方におすすめしたいのが、音声ガイドの利用です。ナビゲーターはミュージカル『刀剣乱舞』シリーズで三日月宗近を演じる俳優・黒羽麻璃央さん、解説ナレーターはアニメ『鬼滅の刃』の宇髄天元役を演じる声優・小西克幸さんという豪華な組み合わせ……!
お二人の解説や感想を聞きながら、ふむふむと作品を改めて見てみると「そうだったのか!」という発見も多く、展覧会がより一層楽しくなりました。琵琶法師・今井勉さんによる平家物語(宇治川)も特別収録。「聞いてよかった!」と思える情報が満載なので、ぜひ音声ガイドをお供にじっくりと鑑賞してみてください(会場レンタル代:1台600円)。
展覧会のオリジナルグッズも要チェック
最後はミュージアムショップでグッズをチェック!272ページある「公式図録」3300円は、展覧会に出品された作品を自宅でじっくりと楽しみたい方にぴったりです。
名画がデザインされたグッズがたくさん!ポストカードやクリアファイル、マグネットなどの定番グッズから、刀の鍔の形をしたコースターや、完全受注生産の頼光スカジャンまで、幅広いラインナップのグッズが並んでいます。
支払い方法は、現金、クレジットカード、電子マネー等の利用が可能です。図録以外のグッズはここでしか買えないものばかり。「これは!」と思う一品を、ぜひおみやげにいかがでしょうか。
「兵庫県立美術館」への行き方、チケットの購入方法は?
「ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」を開催する「兵庫県立美術館」があるのは、阪神岩屋駅(兵庫県立美術館前)から徒歩8分ほど。JR灘駅からは徒歩約10分です。
今展覧会は事前予約制ではありませんが、混雑時は入場制限が行われます。チケットは事前にネット(https://www.e-tix.jp/heroes_hyogo/)で購入するか、当日券を購入する方法の2択。混雑を避けたいのであれば、事前購入しておくことをおすすめします。
今展覧会は東京、新潟、静岡での開催を終え、最後の兵庫へとやってきました。これを見逃したら、もう見ることはできないので、興味がある方はぜひお早めにどうぞ!
■兵庫県立美術館
「ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」
会期:2022年9月10日(土)~11月20日(日)
住所:神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1兵庫県立美術館企画展示室1、2、3
TEL: 078-262-1011
観覧料:一般1800円、大学生1400円、高校生以下は無料
営業時間:10~18時(最終入場17時30分)
定休日:月曜(9月19日、10月10日は開館)、9月20日、10月11日
アクセス:阪神岩屋駅(兵庫県立美術館前)から徒歩約8分
Text:中田優里奈(ウエストプラン)
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