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【沖縄・ひめゆりの塔】沖縄の歴史を知るのに欠かせない、祈りのスポット。リニューアルした資料館や、足を伸ばして「ひめゆり学徒散華の跡」へも

【沖縄・ひめゆりの塔】沖縄の歴史を知るのに欠かせない、祈りのスポット。リニューアルした資料館や、足を伸ばして「ひめゆり学徒散華の跡」へも

沖縄県 観光スポット 「知る」「創る」「学ぶ」 るるぶ&more.編集部
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多くの悲話を生んだ沖縄戦は、この島の歴史を知るのに欠かせないとともに、必ず未来に語り継いでいかなければならない史実です。なかでも多数の若者が儚く散っていったひめゆり学徒隊の物語は、今もたくさんの人々の心に刻まれています。近くにある「平和祈念公園」とともに訪れて、沖縄戦の真実を知ることから始めましょう。

Summary

「ひめゆりの塔」ってどんなところ?

「ひめゆりの塔(ひめゆりのとう)」は沖縄戦で亡くなったひめゆり学徒のための慰霊碑です。沖縄戦終焉の地・本島南部の糸満市にある、米軍の攻撃により多くの死者が出た伊原第三外科壕のそばに建てられました。沖縄戦でのひめゆり学徒隊の体験を伝える「ひめゆり平和祈念資料館(ひめゆりへいわきねんしりょうかん)」も併設されています。

「ひめゆりの塔」へのアクセスは、那覇空港から国道331号線を南下して約30分。同じく国道331号線沿いに位置する「平和祈念公園」より手前にあり、2つのスポット間の車移動は10分もかかりません。「ひめゆりの塔」の周辺には物産店や飲食店と隣接した駐車場もたくさんあり、無料で利用できて便利です。所要時間は資料館も含めて1~2時間。「平和祈念公園」と合わせても、3~4時間ほどで見学できます。


「ひめゆり学徒隊」について知っておこう

後に「ひめゆり学徒隊」とよばれることになる沖縄師範学校女子部・沖縄県立第一高等女学校の生徒たちは、現在の那覇市安里にあった学び舎で笑顔あふれる学園生活を送っていました。「ひめゆり平和祈念資料館」の展示の一番最初、第1展示室の入り口には、彼女たちの日常の登校風景が描かれています。休み時間に友達とおしゃべりをしたり、放課後には噂話をしたり、先生にあだ名を付けてみたりと、今の子どもたちと変わらない生活をしていたのです。

そんな彼女たちの、どこにでもある日常を一変させたのが戦争でした。米軍の沖縄本島への上陸作戦が始まった昭和20年(1945)3月、15~19歳の沖縄の女子学生たちが日本軍の病院に動員されます。「ひめゆり学徒隊」は丘の斜面に掘られた粗末な横穴壕で負傷兵の看護や水汲み、伝令、食料運搬などを担い、昼も夜も命がけで働き続けました。しかし戦局はさらに悪化し、絶え間なく砲弾が飛び交うなか南部へ撤退します。さらに6月18日に解散命令が出されると、生徒たちは散り散りになり、北から迫ってくる米軍から逃れるため南の海岸を目指しました。そして、生き残って海岸までたどり着いた生徒も最後は逃げ場を失い、半数以上が悲惨な死を遂げていきました。

「ひめゆり」の名前の由来は、沖縄師範学校女子部・沖縄県立第一高等女学校の校友会誌「姫百合」からです。最終的にこの学校の生徒211人と教師16人、計227人が沖縄戦で命を落としました。そして戦後、小説や映画の題材となり、広く知られるようになったのです。

まずは慰霊碑でお祈りしよう

最初のひめゆりの塔は終戦翌年の昭和21年(1946)、付近の収容所にいた真和志(まわし)村民によって建てられました。真ん中の穴はひめゆり学徒をはじめ軍人や住民およそ100人が隠れていた、「伊原第三外科壕」とよばれる自然洞窟(ガマ)。解散命令直後の6月19日早朝に米軍のガス弾(黄リン弾)攻撃を受け、80人あまりが亡くなった、ひめゆり最期の地のひとつです。現在の塔は戦後13年忌にあたる昭和32年(1957)に、納骨堂を包む形で百合のレリーフと刻銘版が取り付けられ、平成21年(2009)に改修が行われました。

周辺には最初に建てられたひめゆりの塔(右奥)をはじめ、生き残った引率教師が戦死した教え子を悼んで詠んだ「いわまくらの牌」(右手前)、戦後間もない頃に建てられた刻銘碑(左)なども並んでいます。いずれも壮絶な死を遂げたひめゆり学徒隊の戦没者を慰霊、追悼するもの。しっかりお祈りして、彼女たちの死を無駄にしないように誓いましょう。

リニューアルした「ひめゆり平和祈念資料館」を見学

「ひめゆりの塔」に隣接して立つのが、平成元年(1989)に設立された「ひめゆり平和祈念資料館」です。沖縄戦で破壊されて廃校となった沖縄師範学校女子部・沖縄県立第一高等女学校の同窓生たちで構成された「ひめゆり同窓会」によって建てられました。資料館の玄関は、今はなき母校の正門を模して造られています。

館内は美しく手入れされた中庭を中心に囲うように、5つの展示室が配されています。これは、亡くなった同窓生へのたむけの意味合いとともに、戦争の現実を見て揺れ動く見学者の心が少しでも休まるよう、どこからでも花や緑が眺められるように意図して設計されたものです。

ロビーの写真パネルをはじめ、2021年4月に展示内容を刷新するリニューアルが行われました。「戦争からさらに遠くなった世代へ」をテーマに、次世代の若者たちにひめゆりや沖縄戦をどう伝えていくかを熟考。彼女たちの戦前の日常生活や戦場での活動がイメージしやすいようにイラストを多く取り入れ、展示する写真も選び直すなど、新たな時代に向け、より伝わりやすい内容になりました。5つの資料室は以下の通りです。一つひとつの展示をかみしめながら回ってみましょう。


第1展示室「ひめゆりの学校」

沖縄戦が始まる前のひめゆりの生徒たちの学校生活を紹介する第1展示室「ひめゆりの学校」
沖縄戦が始まる前のひめゆりの生徒たちの学校生活を紹介


第2展示室「ひめゆりの戦場」

生徒たちが働いた病院壕のジオラマや生存者の証言などで構成された第2展示室「ひめゆりの戦場」
生徒たちが働いた病院壕のジオラマや生存者の証言映像などを見ることができる


第3展示室「ひめゆりの証言映像」

生き残った生徒たちが戦場跡を訪れて体験を語る証言映像を集めた第3展示室「ひめゆりの証言映像」 提供:ひめゆり平和祈念資料館
生き残った生徒たちが戦場跡を訪れて体験を語る証言映像を上映
提供:ひめゆり平和祈念資料館


第4展示室「鎮魂」

証言本と伊原第三外科壕の模型に加え、227人の犠牲者の写真と名前が壁にかけられた第4展示室「鎮魂」 提供:ひめゆり平和祈念資料館
証言本と伊原第三外科壕の模型に加え、227人の犠牲者の写真と名前が壁にかけられている
提供:ひめゆり平和祈念資料館


第5展示室「ひめゆりの戦後」

生き残ったひめゆりの生徒たちの戦後の歩みと未来への思いが記された第5展示室「ひめゆりの戦後」 提供:ひめゆり平和祈念資料館
生き残ったひめゆりの生徒たちの戦後の歩みと未来への思いが記されている
提供:ひめゆり平和祈念資料館


■ひめゆりの塔・ひめゆり平和祈念資料館

住所:沖縄県糸満市伊原671-1
TEL:098-997-2100(ひめゆり平和祈念資料館)
料金:資料館入館大人450円、高校生250円、小中学生150円
時間:資料館は9時~17時25分(入館は~17時)、ひめゆりの塔は見学自由
定休日:無休(台風などで路線バス運休の場合は休館)
アクセス:那覇空港道豊見城・名嘉地ICから車で30分、または糸満バスターミナルから82番系統の路線バスで15分、ひめゆりの塔前バス停下車、徒歩すぐ
駐車場:周辺の土産物店の駐車場利用

足を延ばして「ひめゆり学徒散華の跡」へ

「ひめゆりの塔」から車で南に10~15分ほど、沖縄本島最南端の荒崎海岸にあるのが、「ひめゆり学徒散華の跡(ひめゆりがくとさんげのあと)」です。ここは南へ南へと逃げまどい、追い詰められた生徒たちの一部が米軍の攻撃を受けパニックに陥り自決した場所。こちらも「ひめゆりの塔」や資料館と同様に、ひめゆり同窓会によって慰霊碑が設置されています。実際に訪れてみれば背後は海で隠れる場所もなく、絶望的な状況にあったことが分かるはず。戦争の悲惨な事実を知るために、ぜひこちらにも足を延ばしてみてください。

■ひめゆり学徒散華の跡
住所:沖縄県糸満市束里
TEL:098-997-2100(ひめゆり平和祈念資料館)
料金:見学自由
時間:見学自由
定休日:見学自由
アクセス:那覇空港道豊見城・名嘉地ICから車で30分
駐車場:荒崎海岸入口にあり


Text:武田康広(ケディトリアル)
Photo:大湾朝太郎


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