【沖縄・平和祈念公園】沖縄戦終焉の地で戦争を知り、平和を祈る。平和の火や礎、資料館をレポート

【沖縄・平和祈念公園】沖縄戦終焉の地で戦争を知り、平和を祈る。平和の火や礎、資料館をレポート

沖縄県 観光スポット 「知る」「創る」「学ぶ」 大人の社会科見学 るるぶ&more.編集部
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沖縄の歴史を知る上で、決して忘れてはならない史実が沖縄戦。特に日本軍と住民が追い詰められ、悲劇の地となった沖縄本島南部には、多くの戦跡が点在しています。なかでも近くにある「ひめゆりの塔・ひめゆり平和祈念資料館」とともに、沖縄戦の実相を知ることができるスポットが、「平和祈念公園(へいわきねんこうえん)」です。本土復帰50周年を迎えた今、改めて沖縄の歴史を学びに行きましょう。

Summary


「平和祈念公園」ってどんなところ?

戦没者を追悼するとともに平和を発信する公園として、沖縄戦終焉の地・糸満市摩文仁(まぶに)に整備された「平和祈念公園」。約40haの広大な敷地には「平和の火」や「平和の礎」をはじめ、資料館や慰霊塔、墓苑が点在。それぞれで祈りを捧げながら、ゆっくりと園内を歩いてみましょう。

「平和祈念公園」へのアクセスは、那覇空港から国道331号線で約40分。空港自体も那覇南部にあるので、沖縄到着後、最初に訪れるのもおすすめです。所要時間は、公園散策のみなら約30分。資料館などもめぐるなら2時間は確保しておきましょう。

また車で10分程度のところには、沖縄戦で亡くなったひめゆり学徒のための慰霊碑「ひめゆりの塔」があります。「平和祈念公園」と合わせて巡りましょう。



提供:沖縄県平和祈念財団
提供:沖縄県平和祈念財団

広い園内を効率よくめぐるため、敷地内8カ所にバス停が設けられた循環バスが利用できます。運行時間は9~17時で、1回乗車するごとに100円です(台風時などは運休)。

■平和祈念公園
住所:沖縄県糸満市摩文仁444
TEL:098-997-2765 (沖縄県平和祈念財団)
料金:入園無料(施設により異なる)
時間:8~22時(施設により異なる)
定休日:無休
アクセス:那覇空港道豊見城・名嘉地ICから車で30分、または糸満バスターミナルから82番系統の路線バスで24分、平和祈念堂入口バス停下車、徒歩すぐ
駐車場:531台

沖縄戦について知っておこう

提供:沖縄県平和祈念資料館
提供:沖縄県平和祈念資料館

沖縄戦とは日本が敗戦に向け、なし崩し的に戦局が悪化しているなかで、昭和20年(1945)3月下旬から主に沖縄本島で起こった日本軍とアメリカ軍の戦いのことを指します。約90日間におよぶ壮絶な戦いで、死者は住民を含み日米双方で20万人を超えました。日本における唯一の、住民を総動員した地上戦で、園内の「沖縄県平和祈念資料館」には、悲惨な経験を生き延びた沖縄の人々の忌まわしい記憶が証言集として残っています。また、日本側の組織的戦闘が終結した6月23日が「慰霊の日」とされ、この公園で毎年、沖縄全戦没者追悼式が行われ、「沖縄県平和祈念資料館」の入館料が無料となります。

「平和の火」&「平和の礎」でお祈り

広大な園内の一番海側、多くの人々が身を投げたであろう海抜50mの断崖絶壁の手前にあるのが、沖縄戦終結50周年となる節目の平成7年(1995)から灯り続けている「平和の火(へいわのひ)」です。沖縄戦最初の米軍上陸地である慶良間諸島の阿嘉島(あかじま)で採取した火、原子爆弾が落とされた広島市の「平和の灯」、長崎市の「誓いの火」を合わせた火が、恒久平和を願い灯し続けられています。

「平和の火」を取り囲むように立ち並ぶ「平和の礎(へいわのいしじ)」も、平成7年(1995)に除幕されました。国籍や軍人、民間人の区別なく、沖縄戦などで亡くなったすべての人々の氏名が刻まれています。24万人以上におよぶ刻銘は検索コーナーで探すことができ、戦争で肉親を失った遺族や平和学習の団体など、多くの人々がその一人ひとりをお参りに訪れています。

次世代に教訓をつなぐ「沖縄県平和祈念資料館」を見学

「沖縄県平和祈念資料館(おきなわけんへいわきねんしりょうかん)」は、沖縄戦に関するさまざまな資料を展示している、「平和祈念公園」の中心を成す施設のひとつです。沖縄の日本復帰から間もない昭和50年(1975)に開館した「沖縄県立平和祈念資料館」を前身とする資料館で、平成12年(2000)に開設されました。

1階は子ども・プロセス展示室として、18カ国18人の子どもたちの生活の様子を通して世界の多様性を学び、平和な未来を展望しています。2階の常設展示場は5つの展示室に分かれ、沖縄の人々の視点から見た沖縄戦の実相を後世に伝承。全世界の人々の心に、戦争の残酷さと平和の尊さを訴えています。

第1展示室「沖縄戦への道」

沖縄戦に至るまでの沖縄の歴史や、戦争がなぜ起こったかを解説する第1展示室「沖縄戦への道」 提供:沖縄県平和祈念資料館
沖縄戦に至るまでの沖縄の歴史や、戦争がなぜ起こったかを解説
提供:沖縄県平和祈念資料館


第2展示室「鉄の暴風」

沖縄戦の実相を住民の視点から描き、被災状況を立体地図や映像、実物などで展示する第2展示室「鉄の暴風」 提供:沖縄県平和祈念資料館
沖縄戦の実相を住民の視点から描き、被災状況を立体地図や映像、実物などで展示
提供:沖縄県平和祈念資料館


第3展示室「地獄の戦場」

沖縄戦で住民が受けた惨劇を、地下(ガマ)と地上(死の彷徨)で象徴的に伝える第3展示室「地獄の戦場」 提供:沖縄県平和祈念資料館
沖縄戦で住民が受けた惨劇を、地下壕(ガマ)と地上(死の彷徨)で象徴的に伝える
提供:沖縄県平和祈念資料館


第4展示室「証言」

実際に沖縄戦を体験した住民たちから語り継がれる証言を集め、文字と映像で紹介 提供:沖縄県平和祈念資料館
実際に沖縄戦を体験した住民たちから語り継がれる証言を集め、文字と映像で紹介
提供:沖縄県平和祈念資料館


第5展示室「太平洋の要石(かなめいし)」

戦後の収容所生活、27年間の米軍統治、復帰運動を経て、沖縄の教訓を発信する第5展示室「太平洋の要石(かなめいし)」 提供:沖縄県平和祈念資料館
戦後の収容所生活、27年間の米軍統治、復帰運動を経て、沖縄の教訓を発信
提供:沖縄県平和祈念資料館

■沖縄県平和祈念資料館
住所:沖縄県糸満市摩文仁614-1
TEL:098-997-3844
料金:入館大人300円、小人150円(1階は無料)
時間:9~17時(入館は~16時30分)
定休日:無休(臨時休館あり、詳細要問合せ)
※2022年12月1日~2023年4月30日は館内工事に伴い臨時休館

平和祈念像がある「沖縄平和祈念堂」にはチョウ園も

「沖縄平和祈念堂(おきなわへいわきねんどう)」は、沖縄県民をはじめ全国民の平和願望、戦没者追悼の象徴として、昭和53年(1978)に建設されました。そびえ立つ白亜の建物は高さ45mを誇り、「平和祈念公園」のシンボルのひとつとなっています。

堂内には沖縄出身の芸術家・山田真山氏が18年もの歳月をかけて原型を制作した、高さ12mの沖縄平和祈念像が安置されています。また、壁面には西村計雄画伯が平和への思いを込めて制作した連作絵画『戦争と平和』をはじめ、祈念堂の理念に賛同した著名な画家から贈られた大作の数々が展示されています。

祈念堂の裏手には、国内最大級のチョウ・オオゴマダラが舞う「清ら蝶園(ちゅらちょうえん)」を併設。

オオゴマダラは沖縄や東南アジアなどの亜熱帯地域に生息し、白黒のまだら模様が特徴的。羽を広げると、なんと13cmにもおよぶ大きさで、そのビジュアルとふわふわゆっくりとした飛び方から、「南国の貴婦人」ともよばれています。また、沖縄では広く県民に親しまれていて、自然の豊かさの象徴として県のチョウにも選定されています。優雅で美しいチョウの舞いが、戦争の実態を知り、沈んだ心を癒やしてくれますよ。

■沖縄平和祈念堂
住所:沖縄県糸満市摩文仁448-2
TEL:098-997-3011
料金:入堂大人450円、中高生350円
時間:9~17時最終入堂
定休日:無休(臨時閉館あり)

今回は、わずか80年にも満たない過去にこの島で起こった真実を伝え、それを繰り返さない確固たる意志を世界に発信する、「平和祈念公園」を紹介しました。一度でもここを訪れれば、沖縄に対する思いや地元の人との会話の中身も変わるはず。より深く沖縄を知るために、沖縄ビギナーをはじめ、リピーターでもまだ訪れたことのない人は、ぜひとも足を運んでほしいスポットです。


Text:武田康広(ケディトリアル)
Photo:照屋俊

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