【沖縄・首里さんぽ】歴史と文化に彩られ、世界遺産も多い古都を歩こう!ランチに体験、締めのビールも!
15世紀に成立し、海洋貿易の中継地として栄華を極めた琉球王国。450年の長きにわたって続き、現在の沖縄文化にも色濃く影響を残す王国の中心地が首里でした。町には沖縄のシンボル「首里城」をはじめ、歴代国王が眠る墓や石畳の古道など、古都の面影が感じられるスポットが点在。沖縄そばや地ビールの名店、自分みやげが作れる体験工房などを巡りながら、のんびりと散策してみましょう。
Summary
国際通りから車でもゆいレールでも10~15分の好アクセス!
首里エリアは那覇市郊外の高台に広がり、市中心部の国際通りエリアから気軽に足を延ばして訪れられます。車だけではなく、沖縄唯一の電車(モノレール)・ゆいレールでもアクセス可能。ゆいレール首里駅までは国際通りの牧志駅から約10分で、那覇空港駅からでも30分弱。日中は10分に1本、朝夕のラッシュ時はそれよりも短い間隔で運行されていて便利です。車の場合も国際通りから約15分、那覇空港から約30分。駐車場は周辺のコインパーキングや、「首里城公園」を訪れるならその駐車場(1回320円)も利用できます。
琉球王国の歴史を紡ぐメインスポット「首里城公園」
代々琉球国王が住んだ「首里城(しゅりじょう)」を中心とした広大な公園が、「首里城公園(しゅりじょうこうえん)」です。園内は無料で散策できる区域と有料区域に分かれ、見学時間は有料区域も含めて約1時間が目安。平成12年(2000)に世界文化遺産に認定された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」のうち、公園内では無料区域の「園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)」と、有料区域の「正殿遺構(せいでんいこう/「首里城跡」として登録)」の2カ所が登録されています(正殿遺構は現在非公開)。2019年10月に発生した火災で正殿など9施設が焼失しましたが、多くの人々の協力もあり再建中で、“見せる復興”が話題になっています。
■国営沖縄記念公園 首里城公園(こくえいおきなわきねんこうえん しゅりじょうこうえん)
住所:沖縄県那覇市首里金城町1-2
TEL:098-886-2020(首里城公園管理センター)
料金:入園自由。有料区域入場料大人400円、中人(高校生)300円、小人(小・中学生)160円、6歳以下無料
時間:入園自由。無料区域は8時30分~18時、有料区域は9時~17時30分(最新情報は公式サイト要確認)
定休日:無料区域は無休、有料区域・首里杜館は7月の第1水曜とその翌日
アクセス:ゆいレール首里駅から徒歩15分(路線バスも利用可)、または那覇空港から国道58号、県道29号経由10km40分
駐車場:50~116台(収容台数は季節により変動あり/1回320円)
公園周辺にもみどころ満載の首里さんぽ!
「首里城公園」の周辺にも、町を散策しながら立ち寄れるみどころがたくさんあります。まずは世界遺産の一角を成し、2018年には沖縄県の建造物として初の国宝に指定された「玉陵(たまうどぅん)」。琉球王国の第3代国王であった尚真(しょうしん)王が、父・尚円(しょうえん)王の遺骨を改葬するため1501年に創建。それ以降、歴代の琉球国王が埋葬される陵墓になりました。墓室は3つの建築物に分かれ、東室には王と王妃、西室は限られた王族の遺骨が納められ、中室は葬儀の後、遺骸が骨になるまで保管された安置室です。また、墓の左右にある塔の上には、立派なシーサーが鎮座しています。
■玉陵(たまうどぅん)
住所:沖縄県那覇市首里金城町1-3
TEL:098-885-2861(玉陵管理事務所)
料金:入場大人300円、小人150円
時間:9~18時(入場は~17時30分)
定休日:無休
アクセス:ゆいレール首里駅から徒歩20分
駐車場:なし
続いて、16世紀中頃までに整備された石畳の道「首里金城町石畳道(しゅりきんじょうちょういしだたみみち)」へ。「首里城」から南部方面へ続く幹線道路「真珠道(まだまみち)」として、琉球王国の往時は約10kmも続いていたといいます。沖縄戦でほとんどの道が破損したなか、こちらの約300mの区間のみ戦禍を逃れ、当時の面影をとどめています。
■首里金城町石畳道(しゅりきんじょうちょういしだたみみち)
住所:沖縄県那覇市首里金城町
TEL:098-917-3501(那覇市市民文化部文化財課)
料金:散策自由
時間:散策自由
定休日:散策自由
アクセス:ゆいレール首里駅から徒歩20分
駐車場:なし
「首里金城町石畳道」の先に自生している5本のアカギの大木が、「首里金城の大アカギ(しゅりきんじょうのおおあかぎ)」です。『琉球国由来記』にも登場する「内金城御嶽(うちかなぐすくうたき)」の境内にあり、こちらも戦火をまぬがれ、樹齢200年以上といわれています。昭和47年(1972)の本土復帰とともに国の天然記念物に指定。地域の信仰の場でもあり、あたりは神聖な空気が漂っています。
■首里金城の大アカギ(しゅりきんじょうのおおあかぎ)
住所:沖縄県那覇市首里金城町
TEL:098-917-3501(那覇市市民文化部文化財課)
料金:散策自由
時間:散策自由
定休日:散策自由
アクセス:ゆいレール首里駅から徒歩25分
駐車場:なし
ランチは沖縄そばの名店「首里そば なかだ」で
首里エリアのみならず、沖縄全体を代表するそばの名店として知られる「首里そば」。その2号店として2021年12月にオープンしたのが、「首里そば なかだ(しゅりそば なかだ)」です。早朝より1号店で仕込みをしてからやってくる、オーナー自らがふるまってくれるお店。濁りの原因となる沸騰をさせないように集中しながら、3時間も豚を煮込んで取るダシに、カツオの一番ダシを合わせたスープは、臭みがまったくなく透明であっさり。硬めに仕上げられた特注麺とよく絡み、醤油に砂糖、泡盛も加えて1時間以上煮込んだ三枚肉との相性も秀逸です。
古民家を改装してテーブル席や座敷席もある1号店と比べ、2号店はカウンター8席だけのシンプルな造り。ここにも、ゆっくりとお客さんに自らそばをふるまいたいという、2号店を出す際のオーナーの思いが込められています。「首里城公園」の裏手にあたる1号店に対し、2号店はメインゲート側にあるので、散策途中に立ち寄りやすいのも便利です。
■首里そば なかだ(しゅりそば なかだ)
住所:沖縄県那覇市首里真和志町1-36
TEL:098-887-4770
時間:11時30分~15時頃(スープがなくなり次第終了)
定休日:木・日曜(祝日の場合は営業)
アクセス:ゆいレール首里駅から徒歩15分
駐車場:なし
「首里琉染」のサンゴ染体験で自分みやげを
昭和48年(1973)年に創業した紅型工房「首里琉染(しゅりりゅうせん)」では、サンゴの化石の型から模様を染めるサンゴ染体験ができます。染める素材はTシャツやトートバッグ、手ぬぐいなど4種類から選べ、いずれも3300円。1日5回開催され、所要は1回約50分。スタッフさんが丁寧にレクチャーしてくれるので、初めてでも安心して体験できます。染料はすぐに乾くので、その場で持って帰ることができるのもうれしいポイント。
サンゴ染はテーブルに用意された大小さまざまなサンゴの型から選び、染めたい部分の生地をゴムでしっかりと固定するところからスタート。4色の染料を含ませたタンポ(染め道具)を、生地の上からこするようにして模様を出していきます。途中で色を変えればグラデーションもでき、カラフルで美しく仕上げることも可能。テーブルには色の作り方を説明した色見本もあるので、参考にしてみましょう。サンゴの独特の模様が幻想的な色合いとマッチして、世界にひとつだけのとっておきの自分みやげが作れますよ。
■首里琉染(しゅりりゅうせん)
住所:沖縄県那覇市首里山川町1-54
TEL:098-886-1131
料金:サンゴ染体験3300円
時間:9~18時(サンゴ染体験は9時30分~、11時~、12時30分~、14時~、15時30分~の1日5回。1回1~40人、要予約、空きがあれば当日可)
定休日:無休
アクセス:ゆいレール儀保駅から徒歩15分
駐車場:5台
「ウォルフブロイ」の首里水仕込みの地ビールで締め!
「ウォルフブロイ(うぉるふぶろい)」はドイツ出身のオーナーと日本人の奥様が営む、クラフトビールと自家焙煎コーヒーのお店。ビールは旦那様、コーヒーは奥様が主に担当されています。陽光が差し込む大きなガラス壁から首里の町並みが眺められる店内は、コーヒー豆の焙煎機やドイツ直輸入の麦芽が入ったモルト袋が置かれ、まるでヨーロッパの街角のカフェ&バーのよう。奥にはクラフトビールの醸造所も併設されていて、自慢の大型特注タンクが整然と並ぶ様も見られます。
あちこちの沖縄の水を試して選んだやわらかめの首里水で作るオリジナルのクラフトビールは、2019年の開店以来またたく間に地元住民の心を鷲掴み。近年大きなうねりとなっている、沖縄のクラフトビール人気を牽引する存在です。醸造所では年間15~16種がつくられ、つながれたタップは6本。ビールの4大原料のうち、麦芽・ホップ・酵母はすべてドイツから、水のみ首里水でつくる、本場・ドイツと地元・首里のいいとこ取りの一杯が、生ビールで味わえます。古都を歩き回って疲れた体に染み渡る、まさに至福の一杯ですよ!
■ウォルフブロイ
住所:沖縄県那覇市首里池端町34
TEL:098-975-5669
時間:14~19時LO
定休日:水曜
アクセス:ゆいレール儀保駅から徒歩15分
駐車場:3台
さまざまな琉球文化が生まれた古都、首里の町さんぽはいかがでしたか? 今も残る赤瓦屋根や石畳の古道は、ウチナーンチュ(沖縄県民)でなくてもどこか懐かしさを感じるはず。「首里城公園」をはじめとした観光スポットはもちろん、体験にグルメまで、余すことなく楽しんでくださいね!
Text:武田康広(ケディトリアル)
Photo:大湾朝太郎
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