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沼る!エモかっこいい!炭鉱跡にひとめ惚れして、日本の産業を支えた人々のスゴさに感動する!産業遺産にハマッた写真家・探検家の前畑温子さんと「産業遺産情報センター」を見学

沼る!エモかっこいい!炭鉱跡にひとめ惚れして、日本の産業を支えた人々のスゴさに感動する!産業遺産にハマッた写真家・探検家の前畑温子さんと「産業遺産情報センター」を見学

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「産業遺産って何?」とピンとこない人も、鉄筋コンクリート造のアパートが立ち並ぶ炭鉱の島「軍艦島」は知っているのでは?近年、炭鉱跡、製鉄所、造船所といった産業遺産がエモい!かっこいい!と、注目を集めています。2015年には「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として、8県11市23の構成資産がユネスコの世界文化遺産に登録。産業遺産に魅せられた写真家・探検家の前畑温子さんに、その魅力を聞きながら、東京都新宿区の「産業遺産情報センター」を訪ねました。知れば知るほど“沼る”産業遺産の魅力を深掘りします。

summary


エモい!かっこいい!そのうえ人生が変わるかも⁉産業遺産の魅力とは?

写真左/福岡県中間市「遠賀川水源地ポンプ室」、写真右/熊本県荒尾市「三池炭鉱 万田坑」 ※ともに撮影/前畑温子
写真左/福岡県中間市「遠賀川水源地ポンプ室」、写真右/熊本県荒尾市「三池炭鉱 万田坑」 ※ともに撮影/前畑温子

ツタが絡まるアーチ窓や丸窓を備えた赤レンガの建物も、水面に反射して美しく輝く炭鉱跡も、すべて産業遺産!この写真を撮影したのは、産業遺産の虜になり、保育士から写真家・探検家に転身した前畑温子さん。

「趣味で写真を始めたころ、まだ産業遺産という言葉は知らなくて、被写体として朽ち果てた施設や機械に惹かれ、シャッターを切っていました。建物は朽ちているのに、緑が力強く生い茂っていたり、この扉の先にはどんな世界が広がっているんだろうと探検心がくすぐられたり…。今思うと、それが産業遺産との出合いですね。産業遺産を訪れるなかで、無断で立ち入る人がいることで、安全上の理由で解体される施設もあると知り、自分に何かできないかと考えるようになりました」

産業遺産を巡るツアーの実施や保存活用を考えるNPO法人の設立にも携わった前畑さん。人生をも変える産業遺産の魅力を、前畑さんに聞きました。

「各地の産業遺産を訪れると、建物だけでなく、必ずそこに携わった人たちがいると感じられ、今のような便利な世の中で暮らしていけるのは先人たちのおかげだと実感します。日本の過去を知って、未来を考えるきっかけになる、産業遺産は生きた教科書なんです」と前畑さん。

気軽に訪れてみてほしいと、前畑さんは“産業遺産の旅3カ条”を提唱しています。

・その1、行くきっかけは何でもOK!
産業遺産の歴史を知らなければ、楽しめないと思いがちですが、「テレビで紹介されていたから」、「かっこいい写真を撮ってみたいから」など、訪れる理由はどんなものでもOK。とにかく気軽に産業遺産を訪れて。

・その2、ご当地グルメを食べよう。
おいしいもののためなら、人は動く!産業遺産は一期一会で、保存状態が変わったり、解体されてしまったりすることも多々あります。ご当地グルメとセットで、二度三度と産業遺産を訪れてみて。地域の歴史が詰まったグルメに出合えることも!

・その3、現地の人と話してみよう。
ガイドや近くのお店の人と話してみると、産業遺産が地域にとってどんな存在だったか分かります。「家族・友人が働いていた」、「稼働していた当時は~~」といったリアルな話が聞けるかも。

続いて、前畑さんが撮った写真の中から、産業遺産初心者でも興味をもつきっかけになるスポットを3つご紹介します。

鹿児島県鹿児島市「旧鹿児島紡績所技師館」撮影/前畑温子
鹿児島県鹿児島市「旧鹿児島紡績所技師館」撮影/前畑温子

こちらは薩摩藩が日本最初の西洋式紡績工場を設立した際、技術指導のために招いたイギリス人技師の宿舎。洋風のたたずまいでありながら、日本の尺貫法による設計や瓦屋根など、和洋折衷の建築の特徴が見られます。「正面中央の多面形のポーチがかわいらしい洋館。幕末にしてはかなりハイカラな建物だろうし、当時の人も驚いたでしょうね」と前畑さんも想像を膨らませます。

ちょっと、立ち寄りご当地グルメ
仙巌園茶寮「さりょくま(茶寮の白くま)」1000円
前畑さんが「旧鹿児島紡績所技師館」を訪れた際に食べたのが、こちらの鹿児島発祥のキュートなかき氷。「旧鹿児島紡績所技師館」からほど近い、薩摩藩島津家の別邸「仙巌園」内の和風カフェで味わえます。大名庭園を眺めながら、天然氷に練乳をかけ、フルーツを盛り付けた名物スイーツを味わって。
住所:鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1 TEL:099-247-1551

長崎県長崎市「端島炭坑」鉄筋コンクリート造の高層集合住宅(一般には非公開)撮影/前畑温子
長崎県長崎市「端島炭坑」鉄筋コンクリート造の高層集合住宅(一般には非公開)撮影/前畑温子

炭鉱開発のために周囲を埋め立て開発された人工島・端島は、その見た目から軍艦島と称されています。最盛期の昭和35年(1960)ころには、狭い島内に東京の9倍以上ともいわれる人口密度で島民が暮らしていました。「立ち並ぶ鉱員社宅や学校の教室などを見ると、多くの人たちの日々の暮らしがあったのだと実感できます」と前畑さん。そして、元島民のガイドに、「軍艦島は日本の未来の姿になるかもしれない」と言われ、産業遺産の大切さを写真で多くの人に伝えようと決心したのだそう。

長崎県長崎市「三菱長崎造船所 ジャイアント・カンチレバークレーン」(施設内部は一般には非公開)撮影/前畑温子
長崎県長崎市「三菱長崎造船所 ジャイアント・カンチレバークレーン」(施設内部は一般には非公開)撮影/前畑温子

明治42年(1909)、同型としては日本で初めて建設された巨大電動クレーンで、造船所で造られた製品や機材を船に積み込む役割を担っています。「100年以上経った今でも大切にメンテナンスされ、現役で稼働している生きた産業遺産。明治から移り行く時代を、ずっとこの場所から見守ってきたのだと思うと感慨深いです」と前畑さん。

産業遺産に興味が湧いてきた!という人にぜひ訪れてほしいのが、東京都新宿区にある「産業遺産情報センター」です。全国8県11市23の構成資産からなる明治日本の産業革命遺産について、ここ1カ所で学べるから、どの産業遺産を訪ねようか決めるのにぴったり。さっそく見学してみましょう。


みどころ満載で、学びがいっぱい。入館無料の「産業遺産情報センター」を見学

都営大江戸線若松河田駅から徒歩約5分の場所にある「産業遺産情報センター」。総務省第二庁舎別館にあり、目印は赤い三角のロゴマーク。看板の黒は「溶鉱炉」、赤い三角は「炉の中で燃える炎」を表現しているのだそう。

ストラップ付きの音声ガイドを無料貸出し
ストラップ付きの音声ガイドを無料貸出し

入館無料で、日時指定の予約制。公式サイトにアクセスし、1日最大5枠ある時間帯(2024年2月29日現在)と、ガイド付きorガイドなしを選んで予約しましょう。見学の予約時間は、ガイド付きは2時間、ガイドなしは3時間で自由に見学可能。ガイドなしでも、音声ガイドを借りることができます。

受付を済ませ、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の概要が展示されたゾーン1の導入展示から見学。日本の産業革命は、江戸時代末期、鎖国の禁を解き、西洋の技術を吸収し、造船や大砲の鋳造に挑むところから始まります。

ゾーン2は「産業国家への軌跡」というメイン展示。幕末から明治時代にかけて、産業革命を果たしたプロセスを解説しています。

各地の産業遺産を旅してきた前畑さんが注目した展示を、ピックアップしてご紹介します!

1.自分で操作でき、臨場感のある映像が見られる「リキッド・ギャラクシー」

ゾーン1にある「リキッド・ギャラクシー」は、7面の大画面で囲まれた体感型マルチディスプレイ。明治日本の産業革命遺産や世界の産業遺産などをタッチパネル上で選ぶと、当時の写真や古地図、動画などを使った迫力ある解説が見られます。

長崎県の「高島炭坑」や、熊本県の「三池炭鉱 万田坑」のコンテンツを見た前畑さん。「炭鉱マンのリアルな表情が大画面で見られて、思わず引き込まれました。コントローラーで地図を自由に動かせるので、周辺地域にはどんなものがあるのだろうと興味が広がります」と、短時間ではまだまだ楽しみ足りない様子です。

ちょっと、立ち寄りご当地グルメ
高専ダゴ 新みつや 荒尾本店「高専ダゴスペシャル(肉・イカ・卵・そば入り)」1890円
「三池炭鉱 万田坑」のある熊本県荒尾市には、炭鉱マンが好んだ腹持ちのよいお好み焼きの店が多く残っています。「高専ダゴ 新みつや 荒尾本店」の名物は巨大お好み焼き=高専ダゴ。スペシャルは約30cm×50cmで、前畑さんも目が釘づけになったという、ひっくり返す豪快なパフォーマンスも必見!
住所:熊本県荒尾市下井手助丸495 TEL:0968-66-1911

2.知ってる人は何人いる?偉人が大集合した「群像」

幕末から明治時代に活躍した人物の写真が並ぶ展示コーナー「群像」。10m以上ある廊下の壁一面に、坂本龍馬や西郷隆盛、伊藤博文、ペリーなど、日本人も外国人も、男性も女性も。「今まで名前しか知らなかった人も、顔を見るとどんな人だろうと興味が湧きます。ここに登場している人だけでなく、影で支えた人が大勢いるはずだと思うと、産業革命を成し遂げることがどんなに大変で偉大なことだったか感じられます」と前畑さんも感動。

3.西洋から学び、明治日本の産業革命を主導した「長州五傑」

ゾーン2には60以上のパネルがあり、幕末から明治時代にかけて日本の産業革命推進に大きく貢献した人々の挑戦を教えてくれます。「長州五傑(ふぁいぶ)」は最新の知識や技術を学ぶため、命がけで密航してロンドンに渡った、伊藤博文をはじめとする長州藩の5人の若者のこと。

前畑さんは「言葉が通じず、生活スタイルも違う国で、日本のために西洋の技術を学んだ人たち。強い思いがないと挫折してしまうだろうし、帰国後、明治政府の要職を担い、政治や外交、鉄道、工業といった分野で、5人それぞれが成果を出したのはすごい」と感心しきり。

4.鉄道にも船にも鉄鋼が必要。産業の基盤を作った「官営八幡製鐵所」

明治時代、日本が近代化を成し遂げるため、鉄道を敷き、船を造り、蒸気機関を造るには、鉄鋼を自国で生産する必要がありました。製鉄・製鋼の原料炭になるのは石炭です。そこで、福岡県の筑豊炭田近くに建設されたのが「官営八幡製鐵所」。製鐵所設立決定後、約10年で操業を軌道に乗せ、土木建築や造船、機械製造などの材料の生産ができるようになりました。

20世紀初頭の「官営八幡製鐵所」の写真を食い入るように見つめる前畑さん。「官営八幡製鐵所の送水施設である遠賀川水源地ポンプ室は今も現役。動力は蒸気から電気に変わりましたが、煉瓦造りの建物は当時の趣を残しています」と教えてくれました。

ちょっと、立ち寄りご当地グルメ
道の駅いとだ フードコート内 BUNNY’S「石炭ソフトクリーム」400円
「筑豊炭田」ゆかりの真っ黒なご当地ソフト。黒いのは、上質なチョコに竹炭が練り込まれているから。前畑さんが「今まで見たことのないほど、黒いソフトクリーム!」と言う、見た目のインパクトを上回るおいしさで、1カ月に3500本以上売れるそう。
住所:福岡県田川郡糸田町162-4 TEL:0947-26-2115

5.前畑さんは全問正解!「産業遺産クイズ」にチャレンジ

鉄骨の柱や赤レンガを内装に使った製鉄・製鋼の展示コーナー。中央のテーブルには、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産のビジュアルイメージがプロジェクターで投影されています。

テーブルにタブレット端末を見つけた前畑さんは、産業遺産クイズに挑戦。「初級・中級・上級があり、それぞれ4問あります。難問もありますが、解説もあるので楽しく学べますね」。タブレット端末は6台あり、3台はクイズ、残りの3台で海外の専門家による明治日本の産業革命遺産の解説がイラスト付きで見られます。

前畑温子さんと一緒に見学しよう!
「産業遺産情報センター」の紹介動画はこちら!



冊子や便利なアクセスマップも無料!情報収集して、現地に出かけよう

見学者には世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」について22ページでまとめた冊子をプレゼント。見学後、自宅で産業遺産についてじっくり学び直すことができます。表紙は完成当時の「三池港閘門」の写真で、赤×黒のデザインもクール!

産業遺産について学んだら、実際に現地に足を運びたくなります。出入口付近にはピンク色のアクセスガイドマップが用意され、自由にお持ち帰りOK。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産が点在する8エリアをまとめたもの、九州周遊、長崎や八幡といった各エリアの全10種類あります。

このマップが実に優れモノ!スマートフォンでアプリ「明治日本の産業革命遺産ガイドアプリパスポート」をダウンロードして、アプリ上のARカメラを地図にかざすと、写真や動画が現れ、「三菱長崎造船所」の巨大クレーンの3Dモデルを動かせたり、炭坑節が踊り付きで楽しめたりします。

さらに、地図の二次元コードを読み込むと、カーナビや地図アプリの目的地に設定することができるので、現地に行く時に大活躍。マップにはご当地グルメや宿泊施設の情報も掲載されていますよ。

「明治日本の産業革命遺産ガイドアプリパスポート」を
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たっぷり「産業遺産情報センター」を見学した前畑さん。「たくさんの写真を使った展示で、各地の産業遺産がどんな役割を果たしたか分かりやすく学べるし、リキッド・ギャラクシーも見学時間が足りないくらいみどころ満載です。まだ訪れたことのない産業遺産もあったのですが、行ってみたいと思う気持ちが一層強くなりました」と大満足。

「産業遺産ってちょっと難しそう」と思っていた人も、見学すれば、きっと現地で実物を見たくなるはず。行きたい産業遺産を見つけて、ぜひ旅の計画を立ててみて。

■産業遺産情報センター(さんぎょういさんじょうほうせんたー)
住所:東京都新宿区若松町19-1 総務省第二庁舎別館
TEL:0120-973-310
営業時間:10~17時(最終入館は16時30分)
定休日:土・日曜、祝日
料金:入館無料
※公式サイトから要予約

前畑温子さんprofile
日本中の産業遺産を制覇するべく旅を重ねる写真家兼産業遺産探検家。産業遺産の活用やツアーを主催するNPO法人J-heritageで、産業遺産を巡るツアー企画の立案・ガイドなどを担当。

3名のフォトグラファーが、山口県の萩城下町、静岡県の韮山反射炉、福岡県・熊本県の三池炭鉱の産業遺産を訪ね、素敵な写真を撮ってきてくれました。おでかけの参考に、旅の様子をこちらの記事でチェック!

Photo:前畑温子、横尾涼
Text:伊藤あゆ

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

Sponsored:一般財団法人産業遺産国民会議

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