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遠賀川水源地ポンプ室

生きる世界遺産! 八幡エリアの北九州市・中間市の産業遺産を巡る“時をかけるレトロ旅”【エモい!×産業遺産】

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産業遺産=歴史を伝える遺構というイメージがあるけれど、現在も使われている産業遺産があるのはご存じでしょうか。今回は世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」のひとつ、北九州市と中間市にある産業遺産を訪れて歴史的価値を学び、乙女心をくすぐるかわいいポイントも探してきました。旅好きアウトドアインフルエンサーのYURIEさんと一緒に、心揺さぶる産業遺産を探しに、時をかける旅へでかけましょう!

Summary
※★印は世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産となります。

START【黒崎駅】

車で約25分

今も現役! 製鉄所を陰で支える「遠賀川水源地ポンプ室」にキュン

遠賀川水源地ポンプ室

✓遠賀川水源地ポンプ室

まず訪れたのは、三角屋根にレトロなレンガ造りの「遠賀川水源地ポンプ室(おんががわすいげんちぽんぷしつ)」。この後訪れる、約12km離れた「官営八幡製鐵所」へ工業用水を送る施設として、明治43年(1910)に完成しました。110年以上経ち、動力は蒸気から電気に変わりましたが、今も現役! 近くを流れる遠賀川から1日約12万t(25mプールの約360杯分)を送水し、製鉄所の工業用水の約6割をまかなっています。

フォトスポット

現役の施設のため、敷地内には入れませんが、外観の見学ができ、フォトスポットもあります。みどころは円形と半円の窓、赤レンガ以外にグレーがかった鉱滓(こうさい)レンガがあること、軒部分のディンティルという歯型装飾。工業用の建物とは思えないほど、凝ったかわいらしいデザインが施されているんです。

■遠賀川水源地ポンプ室眺望スペース
(おんががわすいげんちぽんぷしつちょうぼうすぺーす)

住所:福岡県中間市土手ノ内1-3-1
TEL:093-245-4665(中間市世界遺産推進室)
営業時間:常時見学可能
定休日:常時見学可能


筑豊本線遠賀橋橋脚

✓筑豊本線遠賀川鉄橋

「遠賀川水源地ポンプ室」から車で3分ほど、「筑豊本線遠賀川鉄橋(ちくほうほんせんおんががわてっきょう)」にも立ち寄ってみましょう。中間駅~筑前垣生駅の間、遠賀川に架かる橋脚の一部はポンプ室と同じ、頑丈なイギリス積みの赤レンガ製。明治24年(1891)、筑豊炭田で採れた石炭を運ぶため蒸気機関車用の鉄道が敷かれ、当時造られた橋脚を現在もJR筑豊本線の列車が走っています。

■筑豊本線遠賀川鉄橋
(ちくほうほんせんおんががわてっきょう)

住所:福岡県中間市中間
TEL:093-245-4665(中間市世界遺産推進室)
営業時間:常時見学可能
定休日:常時見学可能

YURIEさん’s comment
世界遺産にもなった築110年以上の建物を、時代に合わせて機器や設備を新しくしつつ、現在も使用する「遠賀川水源地ポンプ室」。稼働しながら維持していくのは大変だろうし、すごいこと! 鉄を作るためには大量の水が必要=川のそばにポンプ室を建設して、鉄を作る原料・燃料には石炭が必要=石炭を運ぶ鉄道を敷設したという流れもよく理解できました。


車で約5分

「中間市地域交流センター」で、ポンプ室の内部映像を見る!

中間市地域交流センター

「中間市地域交流センター(なかましちいきこうりゅうせんたー)」には、「遠賀川水源地ポンプ室」を詳しく学べる無料施設「遠賀川水源地ポンプ室インフォメーションセンター(おんががわすいげんちぽんぷしついんふぉめーしょんせんたー)」が併設。写真やパネルで操業当時の様子、建設までの経緯、送水の仕組みなどが紹介され、ポンプ室の内部を3D計測した映像も見られます。

展示物

機械設備が電化される前は、「遠賀川水源地ポンプ室」の西側には約50mの煙突が立っていたのだそう。写真や模型で全景を見ると、側面にはアーチ型の窓が連なっていることがわかり、建設当時は赤レンガとグレーの鉱滓レンガのコントラストが鮮やかで、さぞかしハイカラな建物だっただろうと想像が膨らみます。

「なかっぱまんじゅう」左/いちご 右/よもぎ 1パック2個入り 260~280円
「なかっぱまんじゅう」左/いちご 右/よもぎ
いちご2個入り 280円、よもぎ&黒ごま各1個入り 270円(組み合わせにより価格が異なる)

隣には地元に根付いた直売所「新鮮市場さくら館(しんせんいちばさくらかん)」があり、採れたての野菜やフルーツ、鮮魚、精肉、お惣菜がずらり。中間市ならではのおみやげも購入できます。

YURIEさんはおやつに「なかっぱまんじゅう」を購入。おまんじゅうの中身はつぶあんや白あん、いちご餡、黒ごま、カスタードなど。中間市の公式キャラクターの「なかっぱ」と、「遠賀川水源地ポンプ室」の三角屋根の焼き印にもほっこり!

YURIEさん’s comment
「遠賀川水源地ポンプ室」の内部を見てみたいという気持ちを満たしてくれるのでぜひ行ってみて。施設内には中間市の石炭産業の歴史、鉄道が開通する前に石炭を運んでいた「ひらた船」を紹介するコーナーもあり、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」のストーリーがつながって理解が深まります。「新鮮市場さくら館」のおいしそうなお惣菜やほかではあまり見かけない調味料にも心惹かれました。


■中間市地域交流センター(遠賀川水源地ポンプ室インフォメーションセンター)
(なかましちいきこうりゅうせんたー おんががわすいげんちぽんぷしついんふぉめーしょんせんたー)

住所:福岡県中間市大字垣生660-1
TEL:093-245-4665(中間市世界遺産推進室)
営業時間:9~18時
定休日:火曜(祝日の場合は翌平日)

■新鮮市場さくら館(しんせんいちばさくらかん)
住所:福岡県中間市大字垣生659
TEL:093-245-8311
営業時間:9時~18時30分(季節により閉店時間の変更あり)
定休日:火曜


車で約30分

絶賛稼働中!「官営八幡製鐵所 旧本事務所 眺望スペース」で、先人たちの偉業を実感

官営八幡製鐵所 旧本事務所 眺望スペース

「官営八幡製鐵所 旧本事務所 眺望スペース(かんえいやはたせいてつじょ きゅうほんじむしょ ちょうぼうすぺーす)」では、明治32年(1899)に建てられた世界遺産「明治日本の産業革命遺産」のひとつ「官営八幡製鐵所 旧本事務所」の姿を遠望することができます。

レトロな赤レンガ造りの「旧本事務所」は、長官や技師が会議などを行っていた製鉄所の中枢部分。屋根は日本瓦葺き、中央にドームがある左右対称の造りが特徴です。現在の製鉄所では自動車用の鋼材や鉄道用レールなどが作られていて、敷地内外に専用鉄道が走り、今も日本の鉄鋼業を支えていることが眺望スペースからもわかります。

バーチャルツアー

さらに眺望スペースでは、「官営八幡製鐵所」を再現したバーチャルツアーがVRで体験できるのも魅力。「旧本事務所」の内部を歩いているようなバーチャル体験ができたり、「官営八幡製鐵所 修繕工場」に大迫力の再現CGでタイムトリップできたり…と、5つのコンテンツが用意されていて、それぞれ1分~3分50秒で楽しめます。歴史を紹介する写真パネルもあって、常駐するガイドさんのお話も聞けますよ。

YURIEさん’s comment
「官営八幡製鐵所」建設前はのどかな村だった場所に、国の威信をかけて最先端の施設をゼロから建設し、わずか10年で軌道に乗せたと、写真とともに解説していただきました。今、鉄は当たり前のようにあるけれど、始まりは全部人間の手なんだなぁとしみじみ。


■官営八幡製鐵所 旧本事務所 眺望スペース
(かんえいやはたせいてつじょ きゅうほんじむしょ ちょうぼうすぺーす)

住所:福岡県北九州市八幡東区東田5
TEL:093-582-2391(北九州市文化企画課)
営業時間:9時30分~17時(最終受付16時30分)
定休日:月曜(祝日の場合は翌平日)


車で約10分

石炭業で成功した実業家が暮らした洋館「旧松本邸」で、本格フレンチを

旧松本邸

木々が生い茂る丘陵地に建つ大邸宅「旧松本邸(きゅうまつもとてい)」。約1.3haにおよぶ敷地内の洋館、日本館、レンガ造りの蔵2棟は国の重要文化財に指定され、写真の木造2階建ての洋館は、東京駅の設計で知られる建築家・辰野金吾が手掛けた名建築です。

邸宅の当主は筑豊御三家の炭鉱王の一人、安川敬一郎の息子、松本健次郎で、炭鉱業のほか、製鋼などの事業も興し、父子ともに巨額の私財を投じて明治専門学校(現九州工業大学)を開校した人物。この建物は明治41~45年(1908~1912)にかけて自宅と学校の迎賓館を兼ねて建てられました。

館内

現在、洋館はレストランや結婚式場として利用されていて、レストランの予約をすると館内の見学も可能。洋館は流れるような曲線を多用したアール・ヌーボー様式で統一され、外観だけではなく、暖炉などの家具や室内装飾も優美なデザインです。2階へ続く大階段では、青空と白い雲を背景にブドウが実り、ツバメが飛ぶ素敵なステンドグラスも見られます。

食堂

1階には書斎や応接室、広間、食堂など、2階には夫婦の寝室や子どもの寝室、家庭教師室、客室などがあったそうで、すべて内装が異なります。重厚で優美な家具や調度品に囲まれ、窓から手入れの行き届いた庭園を眺めながら、当時の暮らしを想像してうっとり。取材時は、子どもの寝室だった部屋でランチをいただきました。

「旧松本邸ランチ」7500円
「旧松本邸ランチ」7500円

料理は伝統的なフレンチをベースに、地元の季節の野菜を使い、日本人の味覚に合わせてアレンジ。ランチではアミューズ、オードブル、魚料理、肉料理、デザートの5品が提供されます。一皿ごとに見た目にも味にも驚きがあり、ボリュームにも大満足。

YURIEさん’s comment
レトロな建築が大好きで、プライベートでも全国各地に見に行きます。国指定重要文化財の建物を見るだけじゃなく、そこで食事が楽しめるなんて、タイムトリップした感覚が味わえて貴重な体験でした。おいしい料理、ここで過ごす時間、おもてなしを含めて、ランチ7500円はお値打ちだと思います!


■旧松本邸(きゅうまつもとてい)
住所:福岡県北九州市戸畑区一枝1-4-33
TEL:093-871-1031
営業時間:10時~18時30分(要予約)
定休日:火曜(祝日の場合は翌平日)


車で約15分

レンガ造りの名建築が残る「若松南海岸通り」をぶらりと散歩

若松港南海岸通り

続いてやってきたのは、明治以降、筑豊炭田で採れた石炭の積出港として賑わった若松港。「旧松本邸」がある戸畑からは、洞海湾に架かる赤い大吊橋「若戸大橋」を渡って、爽快ドライブができます。「若松バンド」とよばれる若松南海岸通りには、石炭や海運に関わる企業の事務所が構えられ、今もレンガ造りのレトロ建築が点在。写真の旧古河鉱業若松ビルは円形の塔屋が目を引く特徴的なデザインで、現在は多目的ホールとして使われています。

上野ビル

「上野ビル」は鉱山経営や石炭輸送を行っていた「旧三菱合資会社若松支店」の建物。大正2年(1913)建設のレンガ造り3階建てで、本館は縦長の窓が左右対称に並ぶ重厚なデザイン。一方、内部は屋上から1階までの吹き抜けで、格子状の天井にはステンドグラスがはめ込まれ、華やかな雰囲気です。

現在は事務所やカフェ、ショップ、アトリエなどが入居し、建物側面の入口から2・3階の店舗へ行くことができます。

Dresswell

✓Dresswell/上野ビル(旧三菱合資会社若松支店)2階

国内外のファッションブランドのメンズ・レディースを揃えたセレクトショップ「Dresswell(どれすうぇる)」。レトロな雰囲気を生かし、3部屋分をリノベした約120㎡の空間にはアンティーク家具や抽象画とともに、厳選したアイテムが並んでいます。セレクトの基準は、奇抜すぎないデザインで長く使えること。仕入れをしたオーナー夫妻から商品やものづくりのストーリーを聞きながら選べるので、満足度の高いお買い物ができます。

■Dresswell(どれすうぇる)
住所:福岡県北九州市若松区本町1-10-17 上野ビル206号室
TEL:093-863-0318
営業時間:12~19時
定休日:火・金曜


Asa Cafe

✓Asa Cafe/上野ビル(旧三菱合資会社若松支店)3階

お茶をするなら、2010年入居、「上野ビル」では古参の「Asa Cafe(あさかふぇ)」へ。北欧やアメリカ、日本など、デザインが異なる10席のイス、テーブル、書棚、吊り下げランプは、店主がこつこつと集めたお気に入りのアンティーク家具ばかり。“好き”が詰まった空間は友人宅のように居心地がよく、窓から若松港の景色を眺めてゆったり過ごせます。

「ケーキセット」(カボチャのプリンとコーヒー)750円
「ケーキセット」(カボチャのプリンとコーヒー)750円

フード約20種類、スイーツ約10種類とメニューは豊富。カボチャの甘さを生かした舌触りなめらかなプリンや豆から挽くコーヒーなど、丁寧に手作りされた味に心和みます。

■Asa Cafe(あさかふぇ)
住所:福岡県北九州市若松区本町1-10-17 上野ビル306号室
TEL:093-771-8700
営業時間:ランチ11~15時、ケーキセット15~18時、フード15~18時(17時LO)
定休日:木曜

YURIEさん’s comment
赤い大吊橋とレトロ建築は写真映え抜群で、散策にぴったりのエリア。「上野ビル」の2店舗も、歴史ある建物が醸し出す雰囲気に惹かれて出店されたそうで、お店づくりにも商品やメニューにもこだわりを感じました。戸畑と若松を結ぶ渡船(なんと3分ほどで100円!)もあるというので、またぜひ遊びに来たいです。


車で約25分

GOAL【黒崎駅】

【東京都】入館無料! 産業遺産を旅するなら、まずは「産業遺産情報センター」へ

産業遺産情報センター

産業遺産に興味が出てきた、行ってみたいと思ったら、都営大江戸線若松河田駅から徒歩約5分にある、入館無料の「産業遺産情報センター」で情報収集するのがおすすめです。

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の23の構成資産が、ここ1カ所で分かり、たくさんの写真パネルや映像、クイズコーナーなどで楽しく学べます。旅の計画や現地でも大活躍する、アクセスガイドマップも入手できますよ。

「産業遺産情報センター」は公式サイトから日時指定の予約制(2026年2月26日現在)。1日最大5枠ある時間帯と、ガイド付きorガイドなしを選んで予約してみて。

■産業遺産情報センター(さんぎょういさんじょうほうせんたー)
住所:東京都新宿区若松町19-1 総務省第二庁舎別館
TEL:0120-973-310
営業時間:10~17時(最終入館は16時30分)
定休日:土・日曜、祝日
料金:入館無料
※公式サイトから要予約


Photo:YURIE
Text:伊藤あゆ

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

Sponsored:一般財団法人産業遺産国民会議

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