【道の駅 那須野が原博物館】那須の開拓史へタイムトラベル! 知的好奇心を刺激する道の駅|栃木県

【道の駅 那須野が原博物館】那須の開拓史へタイムトラベル! 知的好奇心を刺激する道の駅|栃木県

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道の駅と聞いていえば思い浮かぶのは、新鮮野菜の直売所やご当地グルメ、物産品の数々。今回訪れたのはそんなイメージとはひと味違う道の駅です。食材豊富な那須エリアにあって、独自路線を貫くユニークな道の駅へ行ってきました。

summary

「道の駅 那須野が原博物館」ってどんなところ?

「道の駅 那須野が原博物館」の緩やかな曲線を描く大きな屋根
緩やかな曲線を描く大屋根は、晴れた日にば背後に連なる那須連山と呼応する

栃木県那須塩原市にある、「那須野が原の開拓と自然・文化のいとなみ」をテーマにした総合博物館です。日本遺産にも認定された那須野が原の開拓の歴史や那須疏水、地域の豊かな自然と文化を、ジオラマ模型や当時の文書、地図などを用いた展示で分かりやすく紹介しています。

日本遺産の構成要素でもある総合博物館
日本遺産の構成要素でもある

最初に開拓に乗り出したのは、土木県令との異名をもつ明治時代の政治家・三島通庸(みしまみちつね)。彼はこの地に約1000haの広大な土地を購入し、那須野が原における民間農場の第1号「三島農場」を開設。博物館がある場所は三島農場事務所跡で、日本遺産の構成文化財にも指定されています。

那須野が原の開拓史や那須疏水を体感!

それではいよいよ館内の展示室に進みましょう。

日本遺産紹介コーナー

「道の駅 那須野が原博物館」の「旧青木家那須別邸」をモチーフにした展示室
「旧青木家那須別邸」をモチーフにした展示室。外壁の人造スレートやドーマーウィンドウの飾りも再現

常設展示室の1番目は、日本遺産紹介コーナー。2018年に那須野が原開拓の歴史が文化庁の「日本遺産」に認定されたのを記念して作られた展示室です。模型や歴史資料、パネルで構成されており、博物館が所蔵する歴史資料が、約3カ月ごとにテーマを入れ替えながら特別展示されています。パネルには那須野が原に私財を投じ、近代国家の理想郷を築こうとした明治貴族たちの姿がストーリー性豊かに紹介されています。

「道の駅 那須野が原博物館」明治時代の別邸が再現されたミニチュア
那須エリアにある明治時代の華族らの、4つの別邸を再現

必見は、開拓に乗り出した華族たちの農場に建てられた別邸を再現した精巧なミニチュア模型。窓や扉から室内をのぞくことができ、ゆらゆらと揺れる暖炉の火まで再現されています。

那須野が原の開拓と農場コーナー

2024年にリニューアルした「道の駅 那須野が原博物館」の常設展示室
常設展示室を進んだ先にある、那須野が原の開拓と農場に関する展示室

常設展示室をさらに進むと、地質や自然、古代史など、那須野が原の自然史が展示されています。続いて、那須野が原の開拓と農場に関する展示が展開され、明治初期の開拓計画について、政府の調査資料や計画書などをもとに解説されています。

「道の駅 那須野が原博物館」展示物、千本松農場要覧
大正8年(1919)の千本松農場要覧

那須野が原の開拓と農場コーナーでは、那須有数の観光牧場として知られる千本松牧場が、実は松方正義(まつかたまさよし)により明治26年(1893)に開設された大農場を起源とすることなどを、知ることができます。

那須疏水に関する展示

「道の駅 那須野が原博物館」の展示、那須疏水取入口
1/2のスケールで再現された那須疏水取入口

牧場は次々に開設されたものの、飲料水までが不足する、那須野が原の水の乏しさは変わりません。かくして那須疏水が開削されることになります。 2024年の常設展示室の大規模なリニューアルで、那須疏水の歴史がよりリアルに体感できるようになりました。

「道の駅 那須野が原博物館」の展示、疎水の開削ジオラマ
疏水の開削ジオラマ

那須疏水の開削と、それに伴う過酷な開拓の様子をドラマチックに伝える展示もみどころです。大きな石がゴロゴロと転がる那須の大地を、ツルハシやモッコなど古くからある道具だけで開削した様子がリアルに再現されています。開削は手作業でしたが、那須疏水の本幹水路は、1日平均108mという驚異的な速さで進み、わずか5カ月で完成しました。

「道の駅 那須野が原博物館」の展示、水桶担ぎ体験コーナー
水桶(天秤棒)の担ぎ体験コーナー

地域の豊かな自然と文化を分かりやすく紹介

「道の駅 那須野が原博物館」の展示、那須野が原の大地に関する展示
那須野が原の大地に関する展示

疏水が完成する前、人々がどれほど水に苦労していたかを体感できる「水桶(天秤棒)の担ぎ体験」もぜひトライしてみてください。水汲みは子どもたちが担っていたとのことですが、あまりの重さに驚愕! 那須疏水がこの地域にもたらした恩恵と、水がいつでも手に入るありがたさをしみじみ感じます。

那須野が原は那須連山などから流れる那珂川や箒川によって形づくられた日本最大級の扇状地です。雨や雪に恵まれながらも水不足に悩まされたのは、大きな石や礫が堆積した地層のため。水がすべて地下へ吸い込まれてしまう超巨大なザルのような構造で、今も蛇尾川(さびがわ)は水無川として知られています。ほかにも、精巧なはく製などで構成された動植物のコーナーもみごたえがあります。

歴史の面影が残る敷地内の史跡

三島農場池。豊かな水辺環境はビオトープにもなっている
三島農場池。豊かな水辺環境はビオトープにもなっており、カエルやザリガニ、水生昆虫などが生息する

ここは三島農場事務所の跡地ですから、屋外には明治の開拓遺構が点在しています。屋内展示を見たあとに散策すると、那須野が原への理解がさらに深まりますよ。

那須疎水の水が流れ、三島農場池に注ぐ水路
那須疏水の水が流れる、三島農場池に注ぐ水路

敷地内を絶え間なく流れる水路は、明治時代に開削され、今も那須野が原を潤し続けている那須疏水です。かつて水不足のせいで作物が育てられなかった那須野が原を、現在のような豊かな農業地域にした開拓のシンボルが軽やかな音を立てています。

赤松のやうらと土塁
スギの「やうら」と土塁
那須を巨大なザルにした石
那須を「巨大なザル」にした石。掘り出された石の塚は敷地内以外でもあちらこちらで見られる

敷地を囲む明治期の「やうら(防風林)」と「土塁」は、この場所がかつて三島通庸(みちつね)の「三島農場」だったことを示す遺構です。スギなどが植林され、那須野が原特有の強烈な那須颪(なすおろし)から、農場や住居を守ってきた先人たちの知恵を、実物から体感できます。


北関東有数の観光地であり、避暑地であり、豊かな農業地域でもある那須地域は、もとは人を寄せ付けない荒野でした。この道の駅には、明治の先人たちが日本の近代化を夢見た開拓の熱気と歴史が、静かに熱くこもっていました。

今回ご紹介した「道の駅 那須野が原博物館」車で約25分の場所には、「道の駅 明治の森・黒磯」があります。敷地内には、国指定重要文化財の洋館「旧青木家那須別邸」が現存。明治時代の外交官で外務大臣も務めた青木周蔵が、那須野が原の開拓(青木農場)に伴い建てた歴史ある建物です。「道の駅 那須野が原博物館」とあわせて巡れば、那須野が原の開拓の歴史にも触れられる充実のドライブに。那須観光とともに、ぜひ足を延ばしてみてください。

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Text:松尾裕美
Photo:村岡栄治

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