「増上寺」の見どころを徹底解説!アクセス方法やご利益・楽しみ方をご紹介

「増上寺」の見どころを徹底解説!アクセス方法やご利益・楽しみ方をご紹介

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「増上寺」は東京タワーと芝公園の隣に位置する、室町時代から続く格式高いお寺です。戦国時代には徳川家康が檀家となり、戦の時も携えていた「黒本尊」を安置していることでも知られています。そんな「増上寺」の意外と知られていないみどころや寺カフェ、気になるアクセス方法をご紹介します♪

Summary

「増上寺」が格式高い理由|たった2カ所しかない僧侶“育成機関”のひとつ

東京タワーやビルが立ち並ぶ港区の芝公園に位置する浄土宗の寺院「増上寺」。

「増上寺」は「大本山」といって、日本中の浄土宗のお寺をまとめあげる役割を担う、格式の高いお寺です。

特に、大本山の中でも「増上寺」と京都の「知恩院」の2カ所は別格といわれています。その理由は、浄土宗の僧侶を育成する役割を担うお寺だからです。
「増上寺」を開山した酉誉聖聰(ゆうよしょうそう)上人らが、室町時代の1393年に浄土宗“独自の修行“を確立させ、浄土宗をますます発展させました。

現在は、僧侶を目指す人が必ず受けなければならない「道場」を執り行っていて、夏と冬に全国から人が集まるのだとか。

開放的な境内へ!「大殿」で心穏やかに自分と向き合う

「増上寺」の一番外側の門はこの「大門」。

実は江戸時代までは、この大門まで敷地が広がっていて、芝公園や周辺ホテルも境内だったそう! なんとその大きさは飛び地も含め25万坪。現在は1万6千坪だと考えると、相当大きなお寺だったことがわかります。
中門である「三解脱門(三門)」をくぐると、緑豊かな境内が姿を現します。

この門は、木造の門では東日本最大級の大きさを誇るといわれています。
東京大空襲や災害にも耐え、2022年で造られてから400年を迎えた「三門」。朱色のどっしりと構えた柱から、荘厳な雰囲気が漂っていますね。
境内に入って左手に、手水舎があります。手と口をすすぎ、清めてからお参りするのが基本作法です。
「三門」から「大殿」までは直線で開放的な参道が続き、その長さは48間(1間=たたみ約1畳分)。実はこの48という数字は、悟りを開くために叶えなければならない「誓願」の数なんです。

仏教ではこういった数字を大切にする文化があるのだそう!
参道の先には、阿弥陀如来様をお祀りしている3階建ての大きな「大殿」が。

東京タワーを背景に、過去と現在の不思議なコントラストを写真に収められます。
「大殿」の階段を登り2階へあがると、天井が高く広いお堂が。災害によって昭和期に再建された「大殿」は、コンクリートづくりのため木造に比べてお経がよく響きわたるのだそう。
ここでは、焼香とお祈りをしたり、椅子に座ってゆっくり過ごしたりして自分と向き合うなど自由に過ごせます。静かに心を落ち着かせることのできる空間です。
お坊さんによる読経の時間は毎日、朝6時・昼11時30分・夕方17時の3回。この時間に訪れてみるのもおすすめです。

徳川家康公ゆかりのお寺! 勝運にご利益のある「黒本尊」

安国殿
安国殿
「増上寺」は、徳川家康公と深い結びつきがあることで知られています。

戦国時代、家康公が江戸へ入府する際に「増上寺」の檀家になり、以後、徳川家の菩提寺になったからです。
当時はいつ命を落とすかわからない世の中だったため、身近に菩薩寺を持つのが一般的でした。そのため、境内には徳川家将軍らのお墓があります。

家康公は「日光に遺骸、葬儀は増上寺、遺灰は三河(生まれの地)へ」との遺言を残していて、ここでは盛大な葬儀が執り行われたのだとか。
そんな家康公が守り、本尊にしていた「黒本尊」という阿弥陀如来像が「安国殿」に安置されています。

家康公は、危険と隣り合わせの戦国時代にこの仏像を深く尊崇し、戦にも必ず持ち運んでいたそう。
「黒本尊」という名前は、長年人々があげたお線香の煙で黒くなったからことから、家康公が名付けたといわれています。また、数々の戦を勝ち抜いてきたことにより、「勝運の仏様」として現在も親しまれています。

「黒本像」は毎年、お正月・5月・9月の15日に開帳されるため、年3回の貴重な機会を狙って多くの人がお参りに来るとか。
「安国殿」ではお守りが販売されており、御朱印もいただけます。
特に人気のお守りは、「勝運」のお守り。

「勝」には“勝負ごとに勝つ”という意味だけでなく、“まさる”とも読めることから、“ものごとにおいて優れる”という意味もあるんですよ。

大都会のオアシス♪ 歴史の詰まった「増上寺」の境内を散策!

「増上寺」は、23区内では珍しい広大な敷地のお寺です。緑も豊かで、ゆったり休憩や散歩をしに訪れる人も多いとか。

そんな境内のみどころをご案内します!
「安国殿」の2階から裏に回ると、東京のど真ん中とは思えない竹林が。
竹林の道を進むと「貞恭庵(ていきょうあん)」があります。ここは徳川家14代将軍・家茂公の正室となった皇女和宮にゆかりのある茶室です。
さらに奥に進むと「圓光大師堂(えんこうだいしどう)」が。

法然上人の没後800年を記念して2011年に作られた、比較的新しいお堂です。
ここまで境内を巡る人は意外と少なく、静かで穴場のスポットなのだとか。
大殿の隣にあるのは「光摂殿」。僧侶を目指す人が、修行の際に寝泊まりする部屋です。
大広間には天井絵が施されていて、120名もの日本画家が制作に参加しているそう。豪華な天井ですが、これは「修行に励む者の心が洗われるように」との意味が込められているんです。

なお、普段は一般公開をしておらず、毎年秋の「みなと区民まつり」に合わせて公開されています。
※開催に関しては公式WebサイトやSNSで確認を
こちらは「経蔵」という、お経をしまっておくための蔵。

ここも「三門」と同じく、災害や空襲を免れた400年の歴史がある木造の建築物で、貴重な書物も焼失せずに残っています。
この蔵に保管されていたのは、「大蔵経」というお経を総まとめした貴重な書物。

家康公が熱心な仏教徒だったため、当時でも珍しい宋版、元版、高麗版の3つの「大蔵経」を集めることができたといいます。そしてなんと3時代の「大蔵経」が残っているのは「増上寺」だけなんです。(※現在は別の収蔵庫に移管)
こちらは「鐘楼堂(しょうろうどう)」。「増上寺」の鐘は「江戸三代名鐘」のひとつで、その音の大きさは江戸時代から有名だったのだそう。

お堂自体は空襲で焼けてしまい、現在のものは戦後に再建されたものですが、鐘は江戸時代からのもののため、古い歴史を感じられます。
最後は「宝物展示室」です。

徳川家2代将軍・秀忠公のために建てられた豪華絢爛な霊廟「台徳院殿霊廟」の模型が常設展示されています。

模型は1910年の日英博覧会で展示され、イギリス王室に寄贈・保管されていましたが、2014年から日本で展示することになりました。実際の建物が焼失してしまったため、今では貴重な展示物となっています。
企画展も行われています。2022年10月1日(土)〜11月27日(日)の期間中は、「三解脱門(三門)」の建立400年を記念して「三解脱門展」を開催!

普段は立ち入ることのできない「三門」の2階にも上がれるので、ぜひこの機会に訪れてみてください!

■増上寺宝物展示室(ぞうじょうじほうもつてんじしつ)
場所:大本山 増上寺 大殿本堂地下1階 「増上寺宝物展示室 (旧三縁ホール) 」
時間:11~15時(土・日曜、祝日は10~16時)
休館日:火曜 ※火曜が祝日の場合開館
入館料:一般 700円 ※徳川将軍家墓所拝観とのセット券 1000円

緑豊かな境内でゆったり過ごせる寺カフェ「TERA CAFE SHIEN ~ZOJOJI~」

境内を入って右手には「TERA CAFE SHIEN ~ZOJOJI~(テラ カフェ シエン ゾウジョウジ)」があります。
看板には、“芝”の地で“縁”を育むと書いて「芝縁(シエン)」。「SHIEN」というお店の名前の由来は、この地、このお店に関わるすべての人と素敵な“ご縁”があるようにとの思いが込められているんです。

メニューはこだわりのお茶と、和のスイーツ。お茶は「嬉野 かぶせ煎茶」と「嬉野 しずく茶」「嬉野 無薬農 アールグレイ茶」の3種類が用意されています。
今回は、「和菓子セット」、「白たまあんこ最中」、「アフォガード 抹茶」をご紹介!
和菓子セット 1200円
「和菓子セット」1200円
お茶は「嬉野茶」を使用。濃い味わいなのに、嫌な渋みや苦みがなくすっきりしています。

このお茶を提供することになったのは、オーナーが佐賀県で「嬉野茶」をたまたま飲んで、そのおいしさに感動したことがきっかけなのだとか。

また、和菓子の練り切りは、芝地区の和菓子作家さんが丹精込めて作り上げたもの。色鮮やかな桔梗の青が風流ですね。
(左から)白玉あんこ最中 350円、アフォガード 抹茶 580円
(左から)「白玉あんこ最中」350円、「アフォガード 抹茶」580円
最中は、見た目も楽しんでもらうため、クマの形に。季節によってもデザインを変えているそう。

人気メニューの抹茶のアフォガードは、「嬉野茶」と甘いアイスが相性抜群のスイーツ!
アイスにサラッとした抹茶をかけ、あられをトッピングしていただきます。
あられのサクサクした食感と香ばしさがいいアクセントになっていて、和の調和を楽しめますよ♪

「TERA CAFE SHIEN ~ZOJOJI~」は、2023年春頃までの期間限定カフェなので、訪れるならお早めに!

■TERA CAFE SHIEN ~ZOJOJI~(てら かふぇ しえん ぞうじょうじ)
場所:東京都港区芝公園4-7-35 大本山 増上寺 境内
TEL:090-1504-8002
時間:10~17時
定休日:無休

多くの人が訪れる!「増上寺」で注目の行事をピックアップ

「増上寺」では、一年を通してさまざまな行事が行われています。

最も大きな行事は、毎年4月に開催される「御忌大会(ぎょきだいえ)」。法然上人の年回忌を期した法要です。大門から大殿までお練り行列も行われ、お祭りのように盛大に執り行われるんですよ!
「七夕まつり」も人気の行事。「七⼣祈願会」では、カラフルな短冊に込めた参拝者のお願い事を祈願します。

誰でも短冊に願い事を書くことができるので、七夕の夜は「増上寺」に足を運んでみるのもいいですね。
また、「和紙キャンドルナイト」という、大学生主催のイベントも行われます。和紙でできた灯籠で表現された天の川はとっても幻想的です。
年末年始は多くの参拝者が訪れます。夜は東京タワーのライトアップとのコラボレーションを楽しむのもいいですね。
年末といえば「除夜の鐘つき」。「増上寺」では一般の参拝者でも鐘をつくことができるんです。

この鐘つきは予約制となっていて、例年12月1日の朝からチケットを販売しています。毎年人気でその日には完売してしまうんだそう!

気になる「増上寺」のアクセス方法!電車利用が便利

増上寺は駐車場がないので、公共交通機関で訪れましょう。

電車の場合
・都営三田線 御成門駅 A1出口 徒歩5分
・都営三田線 芝公園駅 A3またはA4出口 徒歩6分
・都営浅草線 大門駅 A6出口 徒歩7分
・都営大江戸線 大門駅 A6出口 徒歩7分
・JR浜松町駅 北口 徒歩12分
・都営大江戸線 赤羽橋駅 赤羽橋口 徒歩13分
・東京メトロ日比谷線 神谷町駅 3出口 徒歩15分

さまざまな駅に囲まれていて、アクセス抜群です♪
今回は、「増上寺」の歴史や境内のみどころ、アクセス情報などをたっぷりとご紹介しました。大都会にもかかわらず、広大な敷地で空も広く感じる「増上寺」。そんな開放的な場所で、心穏やかな時間を過ごしてみてはいかが?

■大本山 増上寺(だいほんざん ぞうじょうじ)
住所:東京都港区芝公園4-7-35
TEL:03-3432-1431
時間:大殿 6時〜17時30分、安国殿 9〜17時
定休日:無休


Photo・Text:土井彩寧(vivace)

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