京都で見つけた!食べる・飲むが愛おしくなるかわいい酒器たち

京都で見つけた!食べる・飲むが愛おしくなるかわいい酒器たち

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その箸置きに出会ったのは、料理人たちがこっそり通う、京都の路地裏にある蕎麦屋。「素面(シラフ)」と書かれた箸置きをひっくり返すと「千鳥足」に。お隣さんの箸置きは「笊(ざる)」。そのセンスと遊びゴコロが溢れでる箸置きをつくっているのが、『酒器 今宵堂』の上原夫妻です。加茂川のほとりで土日だけオープンするお店兼工房におじゃましました。

Summary


土日だけ開く、川のほとりの小さなお店

「今宵堂」は、加茂川のほとりの古民家で、上原連・梨恵夫妻が作陶し、作品を並べる小さなお店。

出身は九州と大阪のふたりですが、京都の陶芸学校で出会い、結婚とともに自分たちの工房を持ち、お店を始めたそう。

量は飲まないけれど、お酒、とくに日本酒が好きというおふたり。夜、仕事を終えて、晩酌する時間をとても楽しみにされています。

『今宵堂』の晩酌の様子は、毎日のようにSNSで公開されていて、数年前には、日々の晩酌をまとめた本が出版社から発売されたほど酒呑みから注目されています。

いつもの風景、いつものアレが、『今宵堂』の器に並ぶと、なんだか1ランクアップして、“食べる”“呑む”時間への愛おしさが増してしまうのが不思議。

お酒好きの友達への京都みやげに!成駒箸置き

そして『今宵堂』の魅力は、プッと笑えるセンスのよさと気持ちよく買える値段設定。例えばこの「成駒箸置(なるこまはしおき)」。お酒を飲む前はみんな「素面(シラフ)」。でも酒が進むと、人によって「笑い上戸」になったり、「千鳥足」になったり…。

成駒箸置(なるこまはしおき)1個500円
成駒箸置(なるこまはしおき)1個500円

人の酔いっぷりに合わせるように「素面」の箸置きを裏返すと「酩酊」があったり、「寝落」があったり、「助平」なんていうのもあります。あの人には何がいいかなーと、友人の顔を思い浮かべると、自然と笑みがこぼれます。

座興賽(ざきょうさい)1個500円
座興賽(ざきょうさい)1個500円

飲み会に、「座興賽(ざきょうさい)」を持参するのも一興。サイコロの面には、「一杯・二杯・三杯・唄・踊・銭」の文字が書かれていて、出た目に合わせて芸を披露したり、さらに杯をすすめたり。気心しれた仲間との楽しい宴が、さらに盛り上がりそう。

晩酌の時間がいとおしくなる可愛い酒器

白瓷片口(はくじ かたくち)一合サイズ 3000円 七勺サイズ 2500円 
白瓷片口(はくじ かたくち)一合サイズ 3000円 七勺サイズ 2500円 

晩酌の時間を豊かなものにする、大事な道具が酒器。『今宵堂』のファンには、飲食店の経営者も多く、酒を愛する人たちの細かなこだわりにあわせて、酒器はどんどんと洗練されていきます。

「白瓷燗徳利(はくじ かん とっくり」1合サイズ 3500円
「白瓷燗徳利(はくじ かん とっくり」1合サイズ 3500円

お店で、たくさんの燗酒を一度につけられるように細身に作られていたり、1合よりも少し少なめの「八勺」や「七勺」の徳利があったり、と機能面にも磨きがかかります。

ハート射抜猪口(ハートいぬきちょこ)1500円 
ハート射抜猪口(ハートいぬきちょこ)1500円 

さらに『今宵堂』の器を魅力的にするのが、器に添えられた言葉。“穴が開いた盃は、九州・四国などに伝わる遊び盃の一種。ハートの形に射抜かれた小さな穴を指で抑えて、お酒も愛もこぼさぬように。”とは、「ハート射抜猪口」のメッセージ。シャレてます。

金魚盃 1800円
金魚盃 1800円

ひとつひとつの作品に付けられたメッセージを読んでいくうちに、あぁ、欲しい、手に入ったならば一生大事にしようと、買う前から心をくすぐられます。

なんといっても、作陶した商品はすぐにも完売。欲しいものを手にいれるには半年から一年待ちもザラ。

晩酌シールを貼ったシンプルなパッケージ
晩酌シールを貼ったシンプルなパッケージ

『今宵堂』のホームページからも注文できますが、お店に訪れれば、今あるものをすぐに手にいれることができるので、そんな一期一会を京都旅行の楽しみのひとつにしてみては?

もしかしたら、あなたの街へも? くすっと笑える企画展

「注器(チューき)」※展示会限定品
「注器(チューき)」※展示会限定品

『今宵堂』は、1年に1回から2.3回、日本全国津々浦々で企画展を開催されています。今までにおこなわれてきたものを少しだけご紹介。

「ニャン徳利」3000円
「ニャン徳利」3000円

たとえば、2016年に盛岡で開催された酒器展は、「吾杯ハ猫デアル」。
いわずとしれた、夏目漱石の名作も“吾杯”としてしまう、このウィット。

「オ呑(とん)とオ燗(かん)」※展示会限定品
「オ呑(とん)とオ燗(かん)」※展示会限定品

2018年の冬に福岡でおこなわれた企画展は「おアチいのがお好き」。
燗酒の酒器を中心に、“LOVE”を隠しテーマに作品が並ぶのですが、たとえば写真の徳利は「お呑(おとん)」と「お燗(おかん)」。

「二合さん」 ※展示会限定品
「二合さん」 ※展示会限定品

憂いのある表情がなまめかしいこちらの徳利は「二合さん」。愛人の隠語の「2号さん」とお酒の量の「二合」を掛けた色っぽいネーミング。このセンスにヤられます。

展示会は旅行気分で、企画のテーマは2人で考えるそう。ここに行ったら、どこでご飯を食べよう、どんなお酒を飲もうかと、そちらの方ばかりが気になってしまうといいつつ、楽しい酒器を作り出すお二人。

日々の生活を楽しんでいる、そのワクワクした雰囲気を纏った器だから、こんなにもココロを掴まれるのかもしれません。

京都旅、定番の観光地巡りもいいですが、作り手の顔が見える工房兼ショップに足を伸ばせば、きっと新しい旅の楽しみが生まれるはずです。

Photo:瀬田川勝弘
text:小西尋子

●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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