薬膳アテンダントが教える!「ゆる薬膳。」で梅雨トラブルを撃退!
ユウウツな梅雨の時期を乗り切るために、食事で体調を整える薬膳を始めてみませんか?「薬膳?難しそう…」という人も大丈夫。気軽に始められる「ゆる薬膳。」をご紹介します。今回は薬膳アテンダントで『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング刊)の著者・池田陽子さんに、梅雨トラブルの特徴と、効果的なゆる薬膳術&時短レシピを教えてもらいました!
summary
梅雨トラブルの特徴は「重い、濁る、粘る、滞る」
じとじと雨が続き、身体もどんより……。梅雨どきは、会社に行くのもユウウツになりがち。梅雨になり湿度の高い日々が続くと、人間の身体にも湿気が入りこみ、余分な水分が停滞してトラブルを引き起こしやすくなります。
湿気によるトラブルの特徴は、「重い、濁る、粘る、滞る」。
頭や身体が重だるい、軟便、目やに、じんましんなど湿疹がでやすい、化膿しやすいといった症状を引き起こします。
また湿気は下にたまりやすいため、吐き気、下痢、みぞおちのつかえを引き起こし、気分も落ち込みがちに。極めて下方向にどんより、しかも治りにくいといった特徴があるのです。
加えて、湿気は中医学で「脾」とよばれる臓器を弱めます。消化器官と水分代謝をつかさどる脾が弱ると、むくみ、体力の低下、食欲不振といった症状を引き起こしやすくなるのです。
雨の日、台風の前に具合が悪い人は要注意!
脾は食べ物を消化して吸収した栄養から、元気の源である「気」をつくる働きも担います。つまり、ここが弱ると、気を生み出すことができなくなってしまうのです。
脾は湿気に弱いため、高温多湿の地に住む日本人は得てして脾が弱いことが多く、国民的に「脾弱」な傾向があります。
脾が弱い人は、ふだんから疲れやすい、朝なかなか起きられない、胃が弱い、むくみやすいといった傾向があり、梅雨を迎えるとトラブル全開に。中でももっとも顕著なのが、むくみ。そもそも脾が弱くてむくみやすい人はさらにむくみやすく、水太り系は、さらにむくむくと巨大化しがち。
もともと、雨の日は体調がすぐれない人が多く、とくに絶不調になりがちなのが「台風の前」! むくんだり、やたらと眠くなったり、頭や体がどんより重くなるという人は決定的に脾がダメなタイプ。心して食養生を。
豆類、とうもろこしや緑豆もやしで、体内の「除湿」を
梅雨どきのトラブルを乗り越えるためには、身体の中から脾を強めて、湿気を取り除く食材を取り入れることがポイントです。食べて体内の「除湿」に努めましょう。
脾の働きを強めて、体内の湿気を払うのにおすすめなのが豆類。身体の余分な水分を排泄して、脾を健やかに保ちます。
また利尿効果の高い食材を積極的にとることも大切。とうもろこし、緑豆もやし、冬瓜は梅雨の「除湿3大横綱」食材。いずれもすぐれた水分排出効果があるので、積極的に取り入れて。そのほか、アサリ、白身魚、海藻類もおすすめです。
また、これらの「除湿食材」のパワーを高めるコツがあります。それは、「香り野菜」をプラスすること。青ジソ、パクチー、三つ葉、パセリなどには「芳香化湿」作用といって、香りが身体の湿気を追い払ってくれる効能があるのです。
そして、この時期は、大量の水分および冷たいものの過剰摂取は厳禁。とくに冷房がガンガンにきいた部屋で、冷たいもののガブ飲みは自ら「体内に大雨を降らせている」ようなもの。どんどん体調が悪化するので気を付けましょう。
手軽な薬膳レシピ!緑豆もやしとアサリのレンジ蒸し
梅雨時の「お値打ち薬膳フード」といえば緑豆もやし。原料の緑豆には、尿の排出を高めるすぐれた作用があります。同様に水分代謝を高めるアサリ、湿気を払うパクチーをプラスしたエスニックなレシピです。
アサリは缶詰を使い、レンジ調理でサクッと完成。アサリの旨みがしみたもやしが、やみつきになる味わいです。ビールのおつまみにもおすすめ。
【材料】2人分
緑豆もやし 2/3袋、アサリ水煮缶 1缶(120g)、パクチー 適量、しょうがのすりおろし 少々、ナンプラー 小さじ1、日本酒・ごま油 少々、こしょう 適量
【作り方】
耐熱皿に緑豆もやし、しょうが、アサリ水煮缶を缶汁ごと入れ、ナンプラーと日本酒をふりかけてラップをしてレンジで2分加熱する。ザク切りにしたパクチーを加え、ごま油、こしょうをふり全体を混ぜる。
秒速薬膳レシピ!コーンとミックスビーンズの和風サラダ
利尿作用に高い効能があるとうもろこしと、脾を強める豆を組み合わせ、青ジソをプラスして、さらにそのパワーをアップさせた「除湿サラダ」。缶詰を使った、30秒で完成するお手軽「秒速薬膳」レシピです。
青ジソの風味で、気分もさわやかになるサラダは、朝ごはんにもぴったりですよ。
【材料】(2人分)
コーン缶 1缶(120g)、ミックスビーンズ缶 1缶(110g)、青ジソ 6枚、A(しょうゆ・オリーブオイル・酢・すだちのしぼり汁 大さじ1、はちみつ 少々)
※すだちがないときはレモンでもOK
【作り方】
ボウルに缶汁をきったコーン、ミックスビーンズ、千切りにした青ジソを入れ、混ぜ合わせたAも加えて全体をあえる。
中医学では、「人間は自然の一部であり、自然に対応して生きることで健康や美容はおのずと手に入る」という思想があります。薬膳で大切なのは、自然の流れ、季節にそった食べ方をすること。梅雨の時期にも、お手軽薬膳レシピで身も心もスッキリを目指しましょう。
text: 池田陽子
薬膳アテンダント、食文化ジャーナリスト。国際中医薬膳師資格取得。ふだんの暮らしのなかで手軽に取り入れられる「ゆる薬膳。」の提案を、執筆やセミナーなどを通して行う。著書である『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』(JTBパブリッシング刊)好評発売中!
ムズカしいことヌキ!とにかくゆるく薬膳生活
今回ご紹介した薬膳術のように「ゆるく」「カンタンな」薬膳コラムを365日の日付ごとに掲載した書籍が発売中。季節ごとのお悩みや体の不調、健康維持のための疑問に“まいにち”お応えてくれます!体調はよくしたい!けどストイックな健康法は疲れちゃう。という方、必見です。
梅雨対策、PMSや肩こりといった日々のツラい症状に効果的な食材やレシピが盛りだくさん。TBSテレビ「マツコの知らない世界」に“サバジェンヌ"としても登場した著者・池田陽子氏のサバ缶活用術や、自身の美容&ダイエット薬膳術も伝授しちゃいます。
●当記事の情報は、編集部の取材に基づいた情報です。ご自身の責任においてご利用ください。
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