古都・鎌倉で至福のひととき。ゆったり贅沢な1日を過ごせるお茶処3選
せわしない日常に疲れたら、鎌倉へのんびりお茶に行きませんか?都心からのアクセスも便利なのに、静かな落ち着いた空間を提供してくれるカフェがたくさんありますよ。今回は、特におすすめしたい、ゆったり贅沢なひとときを過ごせるお茶処をご紹介します。
鎌倉「喜泉庵」で絵画のような庭を眺めて至福のひとときを
臨済宗建長寺派の古刹「浄妙寺」の境内にあり、本堂の左手に位置する「喜泉庵」は、お庭を眺めながらお抹茶をいただけるお茶処です。入口へと続く石畳のアプローチも、風情たっぷり!
お茶室の中へ一歩足を踏み入れると、そこはまるで別世界。ほの暗い空間がかもし出す不思議な緊張感で、静かで穏やかな気持ちになります。
窓で切り取られた景色は、一幅の絵のような美しさ!あたりを包み込む凛とした空気感と相まって、心が浄化されていくようです。
お茶請けは、鎌倉の老舗和菓子店「美鈴」の上生菓子。ほかに、お抹茶と干菓子のセット(600円)もあります。
生菓子は季節によって変わり、この日は紅梅をいただきました。かわいらしい梅の姿から、早春を感じます。ひと口食べると、ほんのり甘みと梅の香り。上品で繊細な味わいが広がります。
縁側へ出てみると、また違った角度からのお庭の眺めを楽しむことができます。こんな景観を眺めているだけで、日々の慌ただしさもすっかり忘れてしまいます。
縁側の片隅で見つけたのは、手水鉢から伸びる一本の竹筒。これは「水琴窟(すいきんくつ)」といって、地中に埋めた甕(かめ)に水の滴る音を共鳴させ、その音色を楽しむものだとか。竹筒に耳を傾けると、まさに水が奏でるお琴のような神秘的な音色を聞くことができます。
都心から1時間余りで行くことができる鎌倉で、こんなに情緒豊かな体験ができるなんて、うれしい発見です。時間に追われてばかりの日常から抜け出し、ときにはこんな空間で心の安らぎを取り戻してみませんか?
■参考記事:鎌倉「喜泉庵」で本当の癒しを体感!絵画のような庭を眺めてお抹茶をいただく至福のひとときを(配信日:2018.04.22)
日本茶専門店で飲むだけじゃないお茶天国を楽しむ
湘南モノレール西鎌倉駅からすぐの「鎌倉倶楽部 茶寮」は、2017年秋にオープンした日本茶専門店。お茶のアドバイザーでもある店主が全国から厳選した約20種類のお茶が味わえます。
暖簾をくぐるとまず目に飛び込んでくるのは、茶寮の顔でもあるイチョウの一枚板で造られたL字形カウンター。お茶を通じて“人と人がつながる交流の場になれば…”との思いから、あえてお客同士の顔が見えるカウンタースタイルを取り入れたそう。
はかりの上に一円玉が6枚…。目の前で繰り広げられる不思議な光景に、これから何が行われるのかと目は釘付けに。実はこれ、急須に入れる茶葉の量を計測しているところなんです。1枚1gの一円玉が6枚で「6g分の茶葉」というわけ。
測り終えたら、お茶を淹れる前に茶葉をこうして目の前に出してくれるんです。茶葉の香りをかいだり、ちょこっと摘まんで葉っぱを食べてみたり、形を観察したり…。多方向からお茶の楽しみ方を解説してくれます。
「鎌倉倶楽部 茶寮」のお茶のラインナップは、煎茶10種に高級煎茶が8種。そのほか抹茶2種に玉露など。品種や味、色などから好みのお茶を選びます。
今回は、鮮やかな緑の「牧之原(品種:やぶきた)」をチョイス。口中に広がるまろやかさと茶葉の旨みがとても美味でした。
「鎌倉倶楽部 茶寮」では、ひとつのお茶で3煎目までおすすめしているそうで、2煎目からはお湯を自分で急須に淹れて味わいます。
茶寮に来たらお茶請けも気になるところ。「鎌倉倶楽部 茶寮」の茶菓子は、ほかとはひと味違います。注目は、約10種類の本日の茶菓子から選ぶ「二十四節気セット」です。日本の伝統菓子をはじめ、季節を取り入れた手づくり菓子などどれもこだわりの味ばかり。
「二十四節気セット」の中には、木のエッセンスが入ったちょっと変わったフレーバーチョコレートもありました。向かって左がヒノキ、右はクスノキ科の落葉低木・クロモジ。口に入れるとふわ~っと広がる木の香りが楽しめますよ。
チョコレートに添えられているのは、コナラとタムシバで燻したスモークチーズ。チョコとチーズのハーモニー、最高です!
茶寮の最寄り駅は湘南モノレールの西鎌倉駅。駅舎を出て県道304号線沿いに歩くと2分ほどで到着です。入口では、可愛らしいメダカも出迎えてくれますよ。
急須で味わうお茶だけでなく、抹茶ビールやハチミツ漬けにした茶葉をソーダで割った煎茶スカッシュなど、お茶の魅力がさまざまなバリエーションで楽しめるメニューも充実しています。気取らずにゆるりと。無限大に広がるお茶ワールドで、ぜひお茶三昧を楽しんでみてください。
■参考記事:飲むだけじゃない!西鎌倉で見つけた日本茶専門店で楽しむお茶天国(配信日:2018.07.26)
一条恵観山荘のカフェで自然を感じて癒されて
鎌倉駅からバスに揺られて約10分。金沢街道沿いにある竹の大きな門が見えたら「一条恵観山荘」に到着です。この山荘は、後陽成天皇の第九皇子であった一条恵観が1646(正保3)年に京都・西賀茂に築いた山荘を、昭和期に鎌倉の地に移築したもの。建物だけでなく、枯山水や飛石を含めた庭園も一緒に移したというから驚きです。
この「一条恵観山荘」に併設されているのが、今回ご紹介する「かふぇ 楊梅亭」。鎌倉の岩山と滑川を見下ろせる場所にある「かふぇ 楊梅亭」は、大きなガラス戸から自然を感じられる癒しの空間。楊梅の実を愛していた一条恵観が、楊梅を天皇へ献上したエピソードが店名の由来になっているそうです。ここでは鳥のさえずり、川のせせらぎ、木々のざわめきに耳を傾けてほしいから、あえてBGMは流さないというこだわりも。
「醍醐のケーキ」(650円)は、ふんわりやさしい口当たりのチーズケーキと抹茶の相性が抜群のひと品。その昔、チーズのことを醍醐と呼び、それは王族貴族しか口にできない大変高価なものだったそうです。苔に見立てた抹茶のクラム、石に見立てたチョコレートをお皿に配して庭園を再現しています。
庭園でおなじみのもみじの葉をモチーフにした「宇治抹茶のロールケーキ」(600円)は、数量限定の人気メニュー。金粉がふりかけられた黒豆がお口直しに添えられ、飽きることなくぺろりと完食できちゃいます。洋菓子はすべて、鎌倉小町通りの銘店「パティスリー雪乃下」が監修したオリジナルスイーツ。「抹茶と季節の生菓子」(1000円)などの和菓子は、創業100年を超える西鎌倉の老舗「茶の子」のお菓子です。
「やまももサイダー」(650円)は徳島産のやまももを取り寄せ、このお店で煮詰めてジュースにしています。サイダーで割ると心地よい泡と爽やかな風味が加わり、暑い夏にぴったりの一杯に。ジュースとサイダーをよく混ぜていただくとおいしく、やまももの実も食べられます。やまももは甘酸っぱい風味とプチプチとした食感で、どことなくラズベリーに近い味わいです。
また、「一条恵観山荘」の茶席「時雨」では、歴史ある道具を使った茶の湯体験を不定期で開催(日程は公式サイトで確認)。障子が開けられている時のみ見られる円窓は風情たっぷりで、カメラを構えたくなるフォトジェニックなスポット。障子にぽっかりとあいた円窓の奥からやさしい陽が差し込み、和室の畳の上にも満月のような光の円が描かれる様子も素敵です。
一条恵観の趣がうかがえる庭園は、自然を五感で堪能でき、日本文化に誇りを感じられる数少ない空間。一般公開されてから間もないため、まだ積極的にPRは行っていないとのこと。混んでしまう前に早めに観ておきたいスポットです。
■参考記事:鎌倉の重要文化財で雅に。清涼感たっぷりの「やまももサイダー」を(配信日:2018.08.30)
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
●この記事は、『るるぶ&more.』の過去に掲載した記事をもとに作成しています。