氷にもこだわりあり!行列のできる甘味処の絶品シャクシャクかき氷
和菓子の名店ひしめく京都祇園。国産本わらび粉の本わらびもちが名物の甘味処「ぎおん徳屋」は、2003年にオープンするやたちまち有名となり、平日でも開店前から行列のできる本格和スイーツの名店です。名物のわらび餅はもちろん、かき氷人気も高いって知ってましたか?そのオールマイティな実力を前にして、どれを食べようか悩むこと間違いなしです。
氷にもただならぬこだわり 夏季限定「お番茶のかき氷」
暑さを感じはじめる5月末から9月末までの期間限定でいただけるのがこちらの「お番茶のかき氷」。
「とにかく素材が命」と語る店主が、氷選びからこだわった至極のかき氷です。京都市内の氷屋の中から、味はクリアで、かつ氷密度の高いものを選定し、氷は、向こう側が見えるくらい極薄に削ります。極薄になってもばらばらと割れないので、ふわふわとガリガリ、食感の違う氷が削れ、最後まで食感を楽しめるかき氷を実現。
氷のこだわりのほか、2種類の自家製シロップにも並々ならぬこだわりが。番茶シロップは、濃く煮出した京番茶と氷砂糖を煮詰め、旨みをぎゅっと凝縮。練乳シロップは、褐色の黄ざらめを使っているので、ほんのり茶色。一般的な白い練乳よりもコクがあって、まろやかな味わい。濃い番茶シロップに合うように考案されています。
番茶シロップ、練乳シロップ、どちらか1種類だけかけても、もちろん美味!2種のシロップをあわせてかけると、濃い甘さの中にお茶のさっぱり感があり、もうスプーンがとまりません。上に振りかけられた番茶パウダーの香りも、好相性。
お番茶のかき氷には、ぐるりと周りに薄切りレモンが添えられています。はちみつ漬けにするひと手間が加えられているレモンは、その酸味を生かすため、あっさりとした浅漬けに。氷とシロップとの三位一体で食べたときのバランスが絶妙で、和風レモンティーのよう。
期間限定のお番茶かき氷のほか、宇治金時などの通年メニューも用意されています。
できたて「本わらびもち」は、喉で味わう
一方で、名物も忘れてはなりません。本わらびもちと人気を二分する、お抹茶の本くずもち。これらを一緒に楽しめる合盛りが特におすすめです。
中央の大きな器の右半分は、国産本わらび粉と和三盆糖を練り上げた本わらびもち。左半分は吉野のくず粉と高級濃い茶を使用した本くずもち。真ん中に鎮座するのは、かき氷と同じ氷を粗めに削ったもの。周りの4つの小鉢は、きなこや黒みつなど、それぞれを美味しくいただくために添えられています。
わらびもちは、注文を受けてから練り始めるので、できたてをいただけます。氷を配置しているのは粗熱を取るため。わらびもちと本くずもちを食べ終えたら、氷にきなこや黒みつをかけてかき氷としても食べられます。最後まで贅沢な味わいを楽しめるのも魅力。
とろっとろのわらびもちは、この粘りが命。本わらび粉を使用しているからこその粘りです。店主が「どこまで柔らかくできるか」を試行錯誤し、たどり着いた製法なのだとか。喉に流れていくような食感、喉で噛む、喉ごしで食べる、そんなわらびもちです。
本わらびもちは、自家製のくろみつと独自配合のきなこをかけていただきます。きなこは、焙煎違いのものと和三盆糖をブレンド。香ばしい香りと深い味わいの中に、ほんのり甘さを感じます。
自家製餡と「お抹茶の本くずもち」の組み合わせは最上級
吉野の本くずに、高級抹茶と和三盆糖を合わせ練り上げた「お抹茶の本くずもち」。まずは、何もかけず、そのままでいただてみて。お茶の席でお濃茶をいただいているような、上品な口当たりに軽い衝撃を受けます。
本くずもちに添えられているのは、抹茶きなこと自家製の粒あん。抹茶きなこに使用しているお抹茶も、京都の老舗日本茶店の高級抹茶。きなこと和三盆糖を独自の配合で合わせています。前述のきなこ同様、粒子がとても細かいので、舌触りが非常に滑らか。
希少な丹波大納言を使った粒あんも秀逸。5時間もコトコトと、時間をかけてじっくり炊き上げます。氷砂糖を使って小豆本来の甘みをゆっくりと引き出した粒あんは、何皿でも食べられそうなほどの上品な甘さ。くずもちのほろ苦さとの相性は、言うまでもなく、です。
店内は1階席、2階席共に和風造りで落ち着いた空間。河原町駅から徒歩10分弱で到着するアクセスのよさなので、夏の京都旅のスタートに、上質な甘味で涼を取ってみては。
「素材」に対するこだわりはもうひとつ甘味だけではありません。こちらの食器は、お盆もスプーンも含め、すべて京漆器なんです。上質な甘味たちには、気品ある器がよく似合いますね。
text:よしおかまさこ(ウエストプラン)
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