京都スイーツ界伝説のパティシエが、極上スイーツとともに週末限定で帰ってきた!

京都スイーツ界伝説のパティシエが、極上スイーツとともに週末限定で帰ってきた!

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京都で最も有名なパティスリーだった「オ・グルニエドール」。2018年5月、オーナーの西原金蔵氏が、開店当初から宣言されてきた「65歳になったら閉店する」の言葉どおり、多くの人々に惜しまれながら閉幕。それから1年、元「オ・グルニエドール」の2階に、毎週末の土日のみ、ひっそりとコンフィズリー&グラスリーのお店「コンフィズリー エスパス・キンゾー」が開店しました。ふたたび西原金蔵氏に会えるとウワサになっています。

summary

細い階段を上がった別天地、元「オ・グルニエドール」で至福の週末

2018年5月、「オ・グルニエドール」が閉店するとわかったときには、京都のメディアやスイーツ好きに激震が走り、最後の1カ月間は平日にもかかわらず連日長い行列ができるほど、その存在を惜しまれたお店でした。

あれから1年、「オ・グルニエドール」の2階に、週末だけオープンする特別感いっぱいの「コンフィズリー エスパス・キンゾー」が誕生。保存性の高い菓子・コンフィズリーと冷たいデザート・グラスリーを提供するお店です。

スイーツ界では知らない人のいない大御所、西原金蔵氏。フランス料理界の巨匠、厨房のダヴィンチとも称された「アラン・シャペル」氏に師事し、才能を見出され、のちにフランスの3つ星レストランでもシェフ・パティシエを勤めたすごい人物なのですが、ご本人はとても物腰やわらかく、優しい方。
「もともとは、奥さんと二人だけで切り盛りする店がしたかった」という長年の想いの叶ったお店で、ここに行けば、間近にご本人にお会いすることができます。

和菓子の常識をくつがえす、琥珀糖に封じ込められた奇想天外な素材たち

写真は、クルスティヤンA 1850円(税込)。Bタイプ1450円(税込)もあり

紫水晶や石英といった半透明の鉱物にも見える美しい菓子。これが、西原氏が新しいお店の第一弾として発売されたコンフィズリーの「クルスティヤン」。
かつて、フランスでアラン・シャペル氏の下、シェフ・パティシエをされていたときのこと。アラン・シャペル氏から「表面は薄氷のようにパリッとして、中はやわらかい菓子が食べたい」とリクエストがあったそう。

フルーツの果汁をペクチンで固めるフランス菓子「パート・ド・フリュイ」で、求められる表現に挑戦したものの、何度試しても成功には至らなかった。そのことがずっと頭の片隅にあった西原氏が、日本に戻り、和菓子の豆板糖を食べたときに「もしかして、シャペルは、これを食べたのではないか?」と直感し、パティスリーのメニューを考える傍ら、ずっと試作を重ねていたそう。

たどり着いたのは、日本の和菓子、琥珀糖。刃を入れると薄氷がパリッと割れるように細かなヒビが入ります。中に入っている素材が独特で、こちらはバルサミコ酢とハーブ(タイム)。ほかに実山椒、赤シソ、日本酒とチョコレートなど思いがけない味が口に広がります。

「素材の持ち味を大切に、何を食べているかわかる料理を」

シャペル氏から引き継いだ思想が、この小さな一粒に詰まっています。大事に、大事に食べたい一欠片。

日にちが経って、端が硬くなった羊羹が好き、と西原氏。「パートドクルスティヤン」は作って2〜3日くらいのものが並びますが、日にちが経つにつれて、糖の結晶化が進み、少しずつ厚みがでてきます。常温に置いておけば1カ月ほど日持ちし、歯ざわりの変化も感じつつ楽しめるとのこと。手土産や贈り物にもいいですね。

際立った香りと味わい、別次元の氷菓「水尾の柚子のグラニテ」

水尾の柚子のグラニテ650円

店内で食べられるメニューは、グラスリー(氷菓)の「水尾の柚子のグラニテ」一択。「水尾」というのは、京都市右京区にある地名で、嵐山から亀岡へ抜ける保津峡の山間の地区。ここは、最高級の柚子の産地ではあるものの、高齢化が進み限界集落になっているのです。

「限界集落を救って欲しい」と救いを求められたのが2008年。それから1年間、水尾に何度も足を運んで、水尾の四季や柚子の成長過程、生産者さんたちの仕事を見続け、柚子トリュフ、柚子ピールショコラ、柚子キャラメルの3品を作り上げられました。もう、その3品は食べられませんが、ここには素晴らしいグラニテがあります。

「コンフィズリー エスパス・キンゾー」の氷菓は、硬く凍らせたシロップを 0.01mm以下に粉砕する特殊な機械で削られているので、驚くようななめらかさを体験できます。盛り付けの器は、軽くて丈夫な和紙でつくった「WASARA」のコンポート器。紙が結露を吸い取り、水滴がたれることもありません。

11月に収穫し、半年間かけてじっくりとエキスを抽出した柚子のシロップを極細に砕いたグラニテの上に、やわらかな若葉のミントと柚子のピールをのせて。作っている最中にもふくよかな柚子の香りが広がり、待ちきれません。

仕上げに柚子の皮を削りかけますが、その仕上げも独特。プレートまで散らすようにかけていきます。添えられた木のスプーンも、一口目に乾いた木の舌触りがないように、シロップを薄めた液に浸してから添えられます。

その様子は、炎暑をしのぐために軒先に打ち水をする京都のおもてなしにも似ていて、涼を誘います。

この氷菓「水尾の柚子のグラニテ」を目当てに13時の開店前から行列ができています。猛暑の最中、頑張って並んだ先には天国のような味が待っています!
行列に並ぶ際は、くれぐれも熱中症に気をつけてくださいね。

Photo:瀬田川勝弘
text:小西尋子

●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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