大阪のレトロ建築5軒│図書館から銀行、ホテルにカフェまで選りすぐりの建築を紹介
大阪の中之島・淀屋橋は、レトロな近代建築が多数点在するエリア。現在も、図書館やショップ、カフェなどとして活用されている建物がたくさんあります。なかでも、1度は訪れてみたい個性を放つ建築5軒の魅力と楽しみ方をご紹介します。
ギリシア神殿のような大阪の知的ランドマーク「大阪府立中之島図書館」

中之島にある「大阪府立中之島図書館(おおさかふりつなかのしまとしょかん)」は、120年以上の歴史をもつ重厚でクラシックな建築で有名です。
第15代住友吉左衛門友純(すみともきちざえもんともいと)が、建物と図書購入費を寄付したことで、明治37年(1904)に開館した大阪府内初の公共図書館で、現在は、「ビジネス支援」と「大阪資料・古典籍」に特化したサービスを提供しています。
まず目を引くのが、左右対称に配置されたファサード。階段の上に立つコリント式円柱が大きな三角形のペディメント(三角破風)を支えるさまは、ギリシャ神殿のような荘厳さがあります。昭和49年(1974)には、本館と左右両翼が国指定重要文化財になりました。
建物中央には、銅でできたドーム型屋根があり、その下の屋内空間には、吹き抜けの中央ホールが広がっています。ドーム型屋根から自然光が降り注ぐ円形のホールには、2階から3階へと階段が続き、まるで教会のような雰囲気です。
3階には、扇形の窓が印象的な記念室があります。窓には、歪みが特徴的な古い手作りガラスがはめ込まれています(一部)。テーブル、椅子などもかつて使用されたものが展示されており、見ごたえたっぷりです。
「大阪府立中之島図書館」の建物や歴史について深く知ることができるガイドツアーが開催されているほか、オリジナルグッズを販売するライブラリーショップもあります。蔵書や資料の閲覧だけでなく、グッズ探しも満喫して、歴史と文化が香る図書館をたっぷり体験してください。
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名建築や日本銀行の歴史に感嘆!「日本銀行大阪支店」
大阪・中之島で中央銀行として日々業務を行う「日本銀行大阪支店」。その旧館は、築120年以上の歴史をもつ貴重な近代建築です。設計は、「日本銀行本店」の旧館や東京駅丸の内駅舎を手がけた建築家・辰野金吾。ベルギー国立銀行などをモデルにしたネオバロック様式の格式ある洋風建築です。
築後80年を経て、老朽化と地盤沈下が進んだため当初は取り壊される予定でしたが、大阪市民や文化庁からの保存希望を受け、旧館の改築工事が行われました。現在も外壁や屋根などは、往時の姿を保っています。
「日本銀行大阪支店」では、内部見学できるツアーも行われています。ツアーではまず、日本銀行の機能や役割を解説するDVDを鑑賞した後、新館の営業室へ。営業室は、防犯のため柱が全くない見通しのよい広い空間です。日ごろなかなか見ることのない業務の様子を実際に見学できます。

続いて、旧館の内部へ。明治時代の部材を使用して再現した記念室は、歴代支店長が応接室として使用していただけあって、重厚感のある造りでうっとり。ドーム型屋根の真下に位置する部屋で、見上げるとドーム天井と12枚のステンドグラスが!

続いて、階段室を見学。建設当時は、御堂筋に面する正面玄関の奥に続いていた内玄関と階段を、当時の部材を再使用しながら復元しています。階段は柱を用いていないのが特徴で、美しい弧を描くアーチによって重量を分散させて支える構造が一目瞭然です。専門家からの評価も高いというディテールのデザインも必見。

最後は広報ルームへ。「日本銀行大阪支店」の歴史を紹介したり、日本銀行の業務や役割について分かりやすく解説したりする資料展示コーナーがあるほか、一万円券十束封(1億円)の重さや、新しい日本銀行券(お札)の偽造防止技術が体験できるコーナーなどがあり、大人も子どもも楽しめます。
見学ツアーは、充実の内容ながら無料。見学予約サイトから先着順で受け付けているので、ぜひ申し込んでみてください。
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ショップ&カフェを巡って個性的な建築を楽しむ「芝川ビル」
近代建築が点在する淀屋橋エリアでも、ひと際目を引くのが「芝川ビル(しばかわびる)」。江戸時代から続く商家・芝川家の本邸跡に、昭和2年(1927)に建てられた鉄筋コンクリート造のビルです。
自家用に建てられましたが、戦前は花嫁学校として利用されたことも。戦後は、事務所中心のテナントビルを経て、現在は高感度なショップや飲食店が集まるビルとして知られています。

国登録有形文化財の建物は、ユニークな外観が目を引きます。幾何学的な装飾などの独特なデザインは、なんとマヤ・インカ文明からインスピレーションを得たもの。

入口の先に広がる玄関ホールには、2014年によみがえった銘板が。地下室から発見された際、昭和16年(1941)の新聞紙に包まれていたことから、戦時中の金属供出を免れるために撤去されたのではといわれています。

階段の手すりには、渦巻きのような個性的な装飾が施されています。紛失していたものは型を取って新しく制作し、なじむようにエイジング加工されたそう。

「芝川ビル」の地下1階~地上3階には、カフェやバー、レストランなどの飲食店、お菓子やアクセサリーのお店、セレクトショップなど魅力的な物件が集結しています。
イベントや見学ツアーなどを除き、内部見学のみは不可なので、ぜひ館内のステキなお店を巡りながら、貴重な建築を体感してください。
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ラウンジやバーで名建築を体感「リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション」

中之島で創業して以来90年の歴史を誇る「リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション」。館内には、日本を代表する建築家・吉田五十八(よしだいそや)がかつて手掛けた、ラウンジとバー、ダイニングが、現在もレガシーとして継承されています。
その1つが、昭和48年(1973)に吉田五十八が「光と水と緑」をテーマに日本の伝統美を取り入れて設計した「メインラウンジ」。2階まで吹き抜けた高い天井まで一面がガラス張りになった大きな窓と、そのすぐ先に広がる日本庭園が圧倒的な開放感を生み出しています。
足元には水が流れる回廊が巡り、心地よい水音に癒やされながら、四季折々の風景が楽しめる贅沢な空間です。
「メインラウンジ」では、和洋スイーツやアフタヌーンティー、軽食のほか、多彩なドリンクや季節のメニューが味わえます。「お重セット」2530円は、3段のお重に入った季節の和菓子や抹茶アイスなどと、抹茶、冷抹茶、和紅茶のいずれかが楽しめるメニュー。
約25万個のクリスタルガラスを用いたシャンデリアや金蒔絵の柱、壁を彩る文化財級の名画の数々などの意匠を眺めながら、ラグジュアリーなティータイムを過ごせます。
「リーチバー」は、かつてのロイヤルホテル時代の社長・山本爲三郎と、民藝の先駆者・柳宗悦がコンセプトを練り上げ、英国の陶芸家であるバーナード・リーチの着想をもとに吉田五十八が設計した空間です。
店内は“民藝”の思想をもとにデザインされた、木のぬくもりあふれる英国のコテージ風。昭和40年(1965)のオープン時の姿をそのまま受け継いでいます。
マストで味わいたいのが、開業時から変わらず銅製のマグで提供される「ジン トニック」。口当たりとのど越しのよさが格別です。店内に並ぶ、バーナード・リーチや河井寛次郎、濱田庄司、芹澤銈介、棟方志功といった、民藝の名匠たちによる最高峰の作品を眺めながら味わう、贅沢なひとときをぜひ。
バーナード・リーチのアドバイスをもとに吉田五十八が設計した空間は、もう一つあります。「オールデイダイニング リモネ」内にある、幻想的な円形の空間「ラ・ロンド」です。
中心部から天井へとひと続きにつながる柱には、紫の細かいガラスタイルが貼られ、洞穴のようにも宇宙船の中のようにも感じられるスペースに。約60年前に作られたとは思えないモダンでスタイリッシュな空間に圧倒されます。
時代を超えて愛される、個性あふれる空間を受け継ぐ「リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション」で、非日常の時間を体験してみませんか。
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英国伝統のティータイムが満喫できる北浜の洋館カフェ「北浜レトロ」

「北浜レトロ」は、明治45年(1912)築のレンガ造りの洋館を生かしたリノベーションカフェの草分けで、北浜が現在のようなおしゃれエリアになる前から営業を続ける、ランドマーク的存在。
朽ち果てつつあったビルを現在のオーナーが買い取り、純英国スタイルのティーサロンに再生させました。平成10年(1998)には、国登録有形文化財になっています。
「北浜レトロ」の看板メニューは、銀仕上げの3段式スタンドでサーブされる「アフタヌーンティー」。上段のケーキは日替わり約15種から選べ、中段のスコーンは季節限定を含む約7種から2種が選べます。下段はハムとキュウリのフィンガー・サンドイッチと充実の内容です。
ケーキやスコーンなどは英国と同じポーション(分量)で提供するため、大ぶりでボリュームたっぷり!
「アフタヌーンティー」よりも手軽なメニューなら、スコーン2種とドリンクが選べる「スコーンセット」を。スコーンは、英国の5つ星ホテルのレシピをベースに機密性の高い南蛮窯で焼き上げるため、外はサクッと中はしっとりとしており、小麦粉の豊かな風味が広がります。
ドリンクは、コーヒーなどもありますが、25種以上の茶葉から選べる紅茶がおすすめ。ティーインストラクターの資格をもつスタッフが、国内外の複数のディーラーから、銘柄ごとに最も品質のよいものを厳選しています。

2階のティーサロンは、アンティークの調度品が配され、レトロな英国スタイルにコーディネートされています。英国からのお客さんには「キュートで懐かしい」「Very English」といわれることも多いそう。
優美な照明、壁を飾る絵画、電気のスイッチにいたるまで、すべてオーナーが英国で買い付けたものなので、細部まで注目してください。

1階のショップスペースには、紅茶やお菓子、雑貨などがずらりと並びます。
人気は、オリジナルデザインの缶や袋がおしゃれなリーフティー。手軽なティーバッグも購入できるので、おみやげにもおすすめです。スコーン各300円や日替わりのケーキを持ち帰り、自宅で味わうこともできます。
貴重な文化財である近代建築を英国のティーサロンとしてよみがえらせ、新たな魅力を発信する「北浜レトロ」で、本場さながらのメニューを満喫してみませんか。
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Text:平林みわ(ピース)
Photo:大﨑俊典、小川康貴
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