龍安寺

【京都】おすすめ庭園のある寺社仏閣&名所名跡13選|庭園鑑賞で日本の文化と美を堪能

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京都観光ではずせない寺社仏閣巡りでは、美しい庭園鑑賞も楽しみのひとつ。今回は『るるぶ&more.』で過去掲載した記事から、京都の寺社仏閣や名所名跡にある美しい日本庭園をご紹介します。名庭には枯山水庭園や池泉回遊式庭園、借景庭園など様式もさまざま。新緑や紅葉など四季によって、その美しさも変化を遂げます。日本文化の集大成ともいえる日本庭園で特別な時間を過ごしてみて。

Summary

【天龍寺】みどころたくさん! 国の史跡・特別名勝第1号の名庭

天龍寺 庭園

京都を代表する五つの禅宗の寺院、「京都五山」のひとつである「天龍寺(てんりゅうじ)」。暦応2年(1339)に創建された臨済宗天龍寺派の大本山で、世界遺産に登録されています。創建当時の境内は、現在の約10倍の広さがあったそうで、名勝・嵐山をはじめ、現在の渡月橋や天龍寺の西側に広がる亀山公園なども境内地だったとか。

世界的にも有名な「曹源池庭園」は、中央に曹源池を配した池泉回遊式庭園で、庭の後方に広がる嵐山や亀山を取り込んだ借景式庭園でもあります。庭園が造られたのは約700年前。開山の夢窓国師が作庭し、現在も当時の面影を留めています。さらに庭園は国指定の史跡・特別名勝の第1号。これは景色の国宝のようなもので、全国に36カ所しかありません。

龍門瀑

特に注目したいのが「龍門瀑(りゅうもんばく)」。「龍門瀑」とは、鯉が3段におよぶ滝の激流を登り、龍と化したという中国の故事「登龍門」に基づいて造られた滝石組を指します。通常の鯉魚石が滝の下に置かれているのに対し、「曹源池庭園」の鯉魚石は滝の真ん中横に置かれており、鯉が龍と化す途中を現す珍しい姿。

諸堂参拝入り口の達磨図

諸堂参拝の入り口となる、庫裏の玄関正面に置かれた達磨図は、「天龍寺」の前管長(前住職)である平田精耕老師の筆によるもので、モチーフは禅宗の初祖・菩提達磨大師。大師が伝えた禅の宗風を象徴しており、まさに「天龍寺」の顔。口をぎゅっと結んで上を見ている特徴的な表情や、ダイナミックな絵のタッチがインパクト抜群です。

自然豊かな嵐山にあり、みどころがたくさんの「天龍寺」。四季の花々や壮大な自然と向き合って、心をリフレッシュしてみては?

公式サイト:https://www.tenryuji.com

■参考記事:【京都】世界遺産|天龍寺のみどころを紹介! 国の史跡・特別名勝第1号の名庭は必見!(配信日:2023.09.19)

【建仁寺】「禅」を感じる庭で心を整える

建仁寺 庭園

京都最古の禅寺として名高い「建仁寺(けんにんじ)」。開創は鎌倉時代の建仁2年(1202)で、創建当時は天台・密教・禅の三宗兼学でしたが、第十一世蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)の時から純粋な臨済禅の道場となりました。室町幕府により中国の制度にならった京都五山が制定され、その第三位として厚い保護を受け大いに栄えました。

「建仁寺」には、趣の異なる3つの庭園があり、そのどれもが個性的。方丈前に広がる「大雄苑」は、作庭家・加藤熊吉により昭和初期に作庭されたもの。想像以上のスケールに驚かされます。こちらの庭園は、方丈の縁側に座って眺めることもできます。

潮音庭

現代の造園家・作庭家である北山安夫氏が監修した「潮音庭(ちょうおんてい)」。廊下に囲まれた庭で、東西南北すべてが正面になるよう作られています。中央に三尊石、その東には坐禅石、周りに紅葉を配していて、確かにどの方向から眺めてもバランスがいいようにレイアウトされています。

おすすめの過ごし方は、ぐるりと廊下を歩いてみて自分が一番「綺麗」と思う風景を探すこと。庭には四季があり、また自分も変わり続けていくので、何度訪れても違った「綺麗」に出合えるのだそうです。

天井の双龍図

「建仁寺」といえばアートも有名です。法堂の天井にある迫力満点の双龍図は、創建800年を記念して平成14年(2002)に小泉淳作が描いたものです。古来より龍は水の神として仏法の教えの雨(法雨)を降らせるたとえから、禅宗の法堂に描かれることが多いそう。実際に見るとその大きさと迫力に圧倒されます。

美しい庭園や双龍図、伽藍などを眺めながら境内を歩くだけでも心が研ぎ澄まされていくよう。朝一と午後は混み合うので10時30分~12時頃に行くのがおすすめですよ。

■参考記事:京都最古の禅寺「建仁寺」みどころ解説。お庭にアート、体験と盛りだくさん!(配信日:2023.09.18)

【龍安寺】数々の著名人が愛した石庭は必見!

龍安寺 石庭

その美しい石庭が世界的に有名な右京区の「龍安寺(りょうあんじ)」。世界遺産に登録された古刹は、宝徳2年(1450)に、足利将軍家の管領(将軍を補佐する重要な役職)を務めていた細川勝元が、公家の徳大寺家から譲り受けた別荘を、妙心寺第5世の義天玄承(ぎてんげんしょう)禅師を開山に迎えて創建されました。

「龍安寺」が誇る石庭は、方丈の南側にあり、東西30m、南北10m余りの長方形の白砂の庭に、15個の石を5・2・3・2・3に分けて配されています。古くは織田信長や豊臣秀吉が度々訪れ、近年ではエリザベス女王やAppleの創業者であるスティーブ・ジョブズが激賞したことから、海外でも広く知られるようになりました。

龍安寺 石庭

一見水平に見える石庭ですが、方丈から見て左奥に向かって低くすることで、排水を考慮した工夫がされています。また、方丈から見て右にある西側の塀は、手前から奥に向かって低くなるように作られていて、視覚的に奥行きを感じさせるために、土塀の高さを計算し遠近法を活用した、当時では珍しい高度な技法が施されているのです。

龍安寺 石階段

石庭が有名な「龍安寺」ですが、ほかにもみどころがたくさん。方丈へと続く参道はモミジのトンネルとなっていて、晩春から初夏にかけてはさわやかな青紅葉を、秋には鮮やかな赤に染まった光景を楽しめます。

石階段の脇にある竹垣は、竹を斜めに組み合わせた形が特徴的で「龍安寺垣(りょうあんじがき)」とよばれるもの。数ある竹垣の種類のひとつとして、全国の日本庭園や自宅の庭などにこの龍安寺垣が設置されています。

公式サイト:http://www.ryoanji.jp/top.html

■参考記事:【京都】世界遺産・龍安寺の石庭は必見!みどころやアクセスを事前にチェック!(配信日:2023.08.19)

【東福寺】4つの違った表情が美しい「八相の庭」

星座の北斗七星を表した東庭
星座の北斗七星を表した東庭

「東福寺(とうふくじ)」は、臨済宗東福寺派の大本山で、東山区の最南部に約16万5000㎡もの広大な寺域を有する寺院。鎌倉時代の初期、当時摂政を務めていた九條道家の発願によって建立されました。

「東福寺」の方丈には、建物の東西南北に四つの庭が配され「八相の庭」と称されています。八相の庭は、作庭家・重森三玲によって昭和14年(1939)に作庭されたもので、東西南北にそれぞれ趣が異なる設計でありながら、全体のストーリーがつながる構成となっているのが特徴です。

星座の北斗七星を表した東庭は、円い石柱、白川砂、苔に背後の二重生垣のみで見事に表現。天空に浮かぶ星をイメージした石柱はそれぞれ高さを変えることで躍動感も演出しています。

左から「西庭」「南庭」「北庭」
左から「西庭」「南庭」「北庭」

「西庭」は、サツキの刈り込みと白砂で立体的な市松模様を形作っています。「南庭」は、巨大な石と白砂で神仙島と海を造り上げた枯山水庭園。また、「北庭」は、かつて勅使門から方丈まで敷かれていた切石を再利用。苔と合わせた市松模様がモダンな印象を与えます。

開山堂(常楽庵)

方丈からさらに北に進み、「通天橋(つうてんきょう)」とよばれる橋を渡った先にあるのが、開山の円爾(聖一国師)の尊像を安置する重要文化財の開山堂(常楽庵)です(拝観不可)。楼閣がそびえる伝衣閣にある三国伝来の布袋像は、京みやげとして珍重された伏見人形のルーツといわれています。また、開山堂と普門院前に広がる庭園は江戸時代中期に作庭されたもので、枯山水庭園と池泉庭園の異なる趣を一度に楽しむことができます。

公式サイト:https://tofukuji.jp

■参考記事:【京都】東福寺の見どころやアクセスをチェック! 紅葉、庭園、伽藍…そのすべてが圧倒的!(配信日:2022.12.16)

【光明院】秋だけに出合える虹色に染まった波心庭

光明院 庭園

「東福寺」の塔頭「光明院(こうみょういん)」。「東福寺」から徒歩2分の距離にあり、明徳2年(1391)に金山明昶(きんざんみんちょう)禅師によって開かれました。

「光明院」といえば、「東福寺」の方丈庭園と同時期に、同じく重森三玲によって作られた「波心庭(はしんてい)」が有名。釈迦三尊・阿弥陀三尊・薬師三尊を表す三尊石から慈悲の心が放たれる世界を立石で表した枯山水庭園で、大海を表す白砂に浮かぶ三尊石組を基点に、立石が斜線状に並びます。寺の名前のごとく、光明が発するようにと、大小の石が直線的に配されているのだとか。ちなみに写真奥にあるサツキとツツジの植え込みは雲を表現しているそう。

波心庭

「煩悩がなければ、仏心という月は波に映る」という禅の教えから名づけられた美しい「波心庭」ですが、秋にはまた違った顔を見せてくれます。

「光明院」は、別名「虹の苔寺」ともよばれており、そうよばれる由来となったのが秋の「波心庭」です。普段は青々とした苔が印象的なこの庭園ですが、秋になると紅葉により美しく彩られます。苔の緑と紅葉の赤やオレンジで庭がカラフルに染まる様子はまさに虹のよう!

本堂から見た波心庭

本堂の縁側や鴨居を額縁に見立てれば、「波心庭」を絵画のように愛でることができます。まるで時間が止まったような静かなひとときを過ごすことができます。室内からだと、紅葉がより鮮やかさを増して見えますね。いろんな角度から思う存分美しい庭園を堪能してください。

公式サイト:https://komyoin.jp

■参考記事:【京都】昭和の名作庭家・重森三玲の傑作! 「虹の苔寺」と呼ばれる光明院の紅葉の庭(配信日:2021.10.31)

【高台寺】秀吉を想うねねの敬愛の念が随所に! 見事な庭園美と建築美を堪能

高台寺 庭園

桜と紅葉で知られる「高台寺(こうだいじ)」。豊臣秀吉の正室・高台院、通称北政所ねねが秀吉の菩提を弔うために慶長11年(1606)に建立した寺であり、境内には秀吉が逝去した伏見城から移築された遺構が残ります。

庭園中央にある開山堂(かいざんどう)は、秀吉の船やねねの牛車の部材を使用した創建当時から残る古い建物。開山堂と方丈は楼船廊(ろうせんろう)によって結ばれ、廊下の中ほどには秀吉とねねが愛した伏見城遺構、唐破風(からはふ)屋根付きの観月台があります。ここでねねは秀吉を偲びながら月を眺めたと伝わります。

波心庭

みどころのひとつである方丈は、「高台寺」の本尊であるお釈迦様を祀る重要な建物。ねねの位牌も安置され、毎月命日である6日には法要が営まれています。

「波心庭」と名付けられた方丈前の庭園は、白砂の波模様が見事な枯山水庭園です。庭園南には天皇やその使者の来寺の時に開けられる勅使門があり、白砂の下には石畳の道が隠れているのだそう。毎年1月1~7日だけ特別にこの門を開け、一般の参拝者がお詣りできるというから、この期間に訪れてみたいですね。

写真提供:高台寺
写真提供:高台寺

「高台寺」散策のクライマックスといえる「霊屋」は臥龍廊を上がった高台にあり、ねねの墓所に建てられています。霊屋の内陣全体には美しい「高台寺蒔絵(まきえ)」とよばれる伝統工芸が施されているのが特徴。霊屋は高台寺の中でも秀吉とねねが眠る重要な建物であるため、柱の一本残らずまで蒔絵が施され別格の様を呈しています。

「高台寺」は八坂神社と清水寺の中間ぐらいにあるので、祇園・清水エリアの散策途中に立ち寄りやすい立地。みやげ店やカフェなどが並ぶ石畳の道「ねねの道」をぶらぶら歩きながら向かうのも楽しいですよ。

公式サイト:https://www.kodaiji.com

■参考記事:【京都】高台寺で庭園美と建築美を堪能|秀吉を想うねねの敬愛の念が随所に(配信日:2024.08.12)

【平安神宮】日本最大級の大鳥居と名庭師が手掛けた神苑を楽しもう

平安神宮 鳥居

左京区の「平安神宮(へいあんじんぐう)」は、毎年10月22日に開催される京都三大祭のひとつ「時代祭」が行われることでも知られ、社殿を囲む約3万㎡の広大な庭園は、サクラやスイレン、ハギやカエデといった四季折々の自然が訪れた人を楽しませてくれます。

「平安神宮」を訪れたらまず見ておきたいのが、神宮のシンボルともいえる巨大な「朱(あけ)の大鳥居」(登録有形文化財)です。昭和3年(1928)に昭和天皇の御大典が京都で行われたことを記念し造営された鳥居は、高さ24m、幅18mと当時日本最大の大きさを誇り、今も京都を訪れた人のフォトスポットになっています。

平安神宮 庭園

大極殿の参拝が終わったら、次はぜひ「神苑」を訪れましょう。明治時代の代表的な日本庭園にも挙げられる「神苑」は、社殿を取り囲むように東・中・西・南の四つの庭で構成されているのが特徴。総面積は約3万3000㎡(約1万坪)にも及び、明治時代の有名な造園家・七代目小川治兵衛らが作庭を手掛けました。昭和50年(1975)には、国の名勝に指定されています。

チンチン電車(重要文化財)の車輌

南神苑の一角にはチンチン電車(重要文化財)の車輌が、その役割を終えてひっそりとたたずんでいます。チンチン電車は平安神宮の創建と同じ年に京都市内に敷設された日本で初めての電車。その縁から廃止になった年から「神苑」の一隅に展示されています。

平安神宮百三十年祭記念事業として「神苑」から応天門南側へ移設し、展示管理用の覆屋を新設。こちらで修繕を行い昭和36年(1961)の廃線当時の姿を取り戻しました。さらに、以前の有料区画から無料区画へ移設されたことで、より多くの人に近代京都文化にふれてもらえるように。

明治維新後に荒廃した京都のまちの復興の歴史ともつながりが深い「平安神宮」。写真を撮ったり美しい花々を眺めたりしながら、ぜひゆっくりと散策してみて。

■参考記事:【京都】平安神宮の見どころ・歴史・写真スポットまで紹介!日本最大級の大鳥居と美しい神苑を楽しもう(配信日:2022.11.02)

【元離宮二条城】名画&庭園の宝庫! 徳川家の栄枯盛衰を見つめた世界遺産

二の丸御殿と御所御車返し(提供:元離宮二条城事務所)
二の丸御殿と御所御車返し(提供:元離宮二条城事務所)

京都でも指折りの観光名所、「元離宮二条城(もとりきゅうにじょうじょう)」は、江戸幕府を開いた徳川家康が、慶長8年(1603)、将軍上洛の際の宿泊所として築城。江戸時代は二条在番の拠点としての役割を果たした歴史があり、明治以降は皇室の離宮となったことから正式には「元離宮二条城」とよばれています。

国宝「二の丸御殿」は全6棟の建物で構成され、江戸初期に完成したとされる書院造の代表例として日本建築史上、重要な遺構です。国内の城郭に残る唯一の御殿群として国宝に指定されています。

大広間一の間・二の間(提供:元離宮二条城事務所)
大広間一の間・二の間(提供:元離宮二条城事務所)

御殿の内部は、部屋数33、約800畳の広大さで、狩野派の障壁画や極彩色の彫刻に金の装飾など、まさに絢爛豪華な空間となっています。大広間一の間(上段の間)・二の間(下段の間)は、将軍と大名や公家との公式な対面所として利用されました。将軍が座る一の間は一段高く設けられ、二の間に大名らが並びました。

本丸庭園

「本丸御殿」の南側に広がる、明治27年(1894)に築かれた「本丸庭園」は、明治天皇が行幸の際に指示し、翌年に造り替えられました。東南隅に築山を配し、伏せて据えられた景石、芝生と曲線的な園路を設けています。庭園の南西にある天守台に登って眺めると、遠く比叡山を望む庭園が御殿と一体化し、優美な美しさを感じられますね。

徳川家の栄枯盛衰を見届け、皇室の離宮となった歴史がある「元離宮二条城」。絢爛豪華な建築美や障壁画の粋や、美しい庭園をぜひじっくりと観賞してください。

公式サイト:https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp

■参考記事:【京都】徳川家の栄枯盛衰を見つめた世界遺産・元離宮二条城は名画&庭園の宝庫!(配信日:2024.10.09)

【総本山 醍醐寺】自然と建築の美しさが結集! 豊臣秀吉も愛した桜の名所

国宝 五重塔
国宝 五重塔

山科盆地の東側、標高約450mの醍醐山一帯に広大な境内を誇る「総本山 醍醐寺(そうほんざん だいごじ)」。平安時代初期の貞観16年(874)、仏法興隆の地を求めて醍醐山(笠取山)に入った開山の聖宝理源大師(しょうぼうりげんだいし)は、自らの手で彫った准胝・如意輪の両観音像を安置する2棟のお堂を建立しました。ここから「醍醐寺」の歴史が始まります。

世界遺産にも登録され、10万点以上の文化財を保有する「総本山 醍醐寺」。清瀧宮拝殿の先にそびえる「五重塔」(国宝)は、京都府下で最も歴史のある木造建築物です。醍醐天皇のご冥福を祈るために、朱雀天皇が承平6年(936)に着工。村上天皇の天暦5年(951)に完成しました。

特別名勝・特別史跡 三宝院庭園
特別名勝・特別史跡 三宝院庭園

山頂一帯を「上醍醐(かみだいご)」、山裾に広がるエリアを「下醍醐(しもだいご)」とよんでいますが、下醍醐は応仁・文明の乱による戦災に遭い荒廃。醍醐寺第80代座主の義演准后(ぎえんじゅごう)は、豊臣秀吉の帰依のもと「醍醐の花見」を通じて一山の復興を果たします。秀吉は、歴代座主が居住する三宝院の庭園設計を手がけたり、和歌山・湯浅からの金堂移築をはじめ、戦禍で荒廃していたお堂の修理や再建を指示したり、「醍醐寺」の復興に貢献しました。

重要文化財 清瀧宮本殿
重要文化財 清瀧宮本殿

清瀧宮本殿(重要文化財)と清瀧宮拝殿は、「総本山 醍醐寺」の総鎮守・清瀧権現を祀る鎮守社です。最初に勧請された上醍醐から分身を移し祀られました。現在の社殿は永正14年(1517)に再建されたもの。朱塗りの社殿には鮮やかな文様が描かれ、当時の姿を今に残します。

桜が美しく咲く時期には、「清瀧権現桜会(せいりゅうごんげんさくらえ)」が開かれます(3月15日~4月15日)。

公式サイト:https://www.daigoji.or.jp

■参考記事:【京都】豊臣秀吉も愛した桜の名所、世界文化遺産・醍醐寺は自然美と建築美の宝庫!(配信日:2024.10.12)

【曼殊院】理想郷を描いた静寂に満ちた枯山水庭園

曼殊院 階段

左京区一乗寺にある「曼殊院(まんしゅいん)」は、代々皇族や公家が住職を務めてきた門跡のひとつ。桂離宮に比肩する数奇屋風書院造りの大書院・小書院を有することから、「小さな桂離宮」ともよばれています。

曼殊院門跡の勅使門は天皇家のための門であり、拝観客は西側にある別の入り口の北通用門から境内に入ります。両脇にモミジを携えた趣のあるたたずまいは絶好のフォトスポット。石段に舞い落ちた木の葉は、まるで赤い滝が流れ落ちるような風雅な光景です。

枯山水庭園

大書院と小書院の南側には、不老不死を求める神仙蓬莱思想に基づいた枯山水庭園があります。白砂は、川の流れや池を表しているといわれ、秋には緑の松と白い砂、赤いモミジが織り成す絶景を楽しめます。

砂の中に配されているのは2つの島と築山。写真中央は「亀島」で、5月初旬には霧島つつじが深紅の花を咲かせます。もうひとつは、なんと樹齢400年という「五葉の松」が植えられた「鶴島」。鶴のシルエットをイメージして作られたそう。庭園には5つの燈籠が据えられており、中でも「曼殊院型燈籠(キリシタン燈籠)」が有名です。

木漏れ日が照らす白壁

夕暮れ時、木漏れ日が照らす白壁の景色もフォトジェニック。また、境内のみならず、その西側にある弁天池の周辺も紅葉スポットなので、時間があればこちらも併せて訪れてみてください。

公式サイト:https://manshuinmonzeki.jp

■参考記事:【京都紅葉】曼殊院|侘び・寂びの世界。静寂に満ちた枯山水庭園の秋景色の穴場!(配信日:2022.11.05)

【廬山寺】紫式部ゆかりの地で『源氏物語』の世界にふれる

廬山寺

「廬山寺(ろざんじ)」は、比叡山天台座主の元三大師(がんざんだいし)良源(りょうげん)が、船岡山(現在の北区)の南麓に開いた與願金剛院(よがんこんごういん)が始まり。鎌倉時代の寛元3年(1245)、法然上人に帰依した覚瑜上人(かくゆしょうにん)が出雲路(現在の北区)に「廬山寺」を開き、南北朝時代に両寺院が統合。以来、円、密、戒、浄の四宗兼学道場として隆盛を極めました。

しかし、室町時代に起こった応仁の乱で寺院は焼失。現在の御仏殿(通称:本堂)と御黒戸(通称:尊牌殿)は、寛政6年(1794)に廬山寺とゆかりの深い光格天皇が仙洞御所の一部を移築造営したもので、令和になった現在もその姿を留めています。

廬山寺 庭園

「廬山寺」が現在地に移転するずっと前の平安時代。このあたりの通りには、紫式部の曾祖父・権中納言藤原兼輔(堤中納言)が建てた邸宅「堤第」があり、紫式部はこの邸宅で一生の大部分を過ごしたといわれています。

「源氏庭」は白砂を使っていることから枯山水といわれますが、正確には平安時代の庭園をモチーフに作庭したもの。優美な曲線を描く苔と白砂が調和する光景は、雅やかな平安時代を思い起こさせます。ちなみに『源氏物語』に登場する花散里の屋敷はこの辺りにあったといわれているそうで、じっとこの景色を眺めているとまるで物語の世界に迷い込んでしまいそうです。

紫式部像

境内には紫式部にちなんだスポットも点在。こちらは、御仏殿の玄関に安置されている紫式部像。凜々しい表情で筆を進める姿を表現しています。堂内の撮影は禁止されていますが、こちらの紫式部像は撮影OK。ぜひ記念写真に残してみては?

公式サイト:https://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/

■参考記事:【京都】廬山寺|紫式部ゆかりの地で『源氏物語』の世界に触れる(配信日:2024.02.03)

【柳谷観音 楊谷寺】SNS映えスポットがたくさん! 花手水と霊水が迎える名刹

手水鉢

長岡京の山深い秘境にたたずむ「柳谷観音 楊谷寺(やなぎだにかんのん ようこくじ)」は、古より眼病に効くという「独鈷水(おこうずい)」が湧き、桜や紫陽花、紅葉などの名勝地としても愛されています。

「楊谷寺」では、手水鉢に色とりどりの花を浮かべた「花手水」がSNSで話題に。最近では全国的にも花手水を設ける寺社が増えていますが、こちらはその先駆的存在。実は名付けの親は、「楊谷寺」の住職の奥様なのです。きっかけは2016年、浄土苑が寂しいので花が欲しいと、手水に紫陽花を浮かべてみたのが始まり。その後も境内入り口の「龍手水」や「苔手水」など5カ所に四季の花々を浮かべるようになったそう。

「浄土苑」

本堂隣にある庭園は「浄土苑」という名で、江戸時代中期に作庭された池泉鑑賞式庭園です。斜面に配された石は菩薩に見立てられ、阿弥陀如来や不動明王といった十三仏も安置されています。重森三玲氏により『古都百庭』にも選ばれました。

「上書院」

書院の階段を上ると、明治時代後期に建てられた「上書院」が迎えます。ここは大法要の際に天皇家や公家など特別な客人だけが通された茶室で、赤い毛氈の敷かれた室内は貴賓室のような上品なたたずまいです。眼下に浄土苑を望み、木々が真っ赤に染まる秋は、息を呑むほどの絶景です。

市街地から離れているため観光客が少なく、心静かにお参りできる京都でも珍しいロケーション。映画のロケ地にもなった「上書院」や「浄土苑」などみどころも豊富なので、ぜひ一度訪れてみてください。

■柳谷観音 楊谷寺(やなぎだにかんのん ようこくじ)
住所:京都府長岡京市浄土谷堂の谷2
TEL:075-956-0017
参拝時間:9~17時(最終受付 16時30分)
参拝料:500円(新緑・あじさい・紅葉ウイーク期間中1000円)※高校生以下無料
公式サイト:https://www.yanagidani.jp

■参考記事:【京都】『柳谷観音 楊谷寺』はSNS映えの宝庫! 花手水と霊水が迎える名刹(配信日:2024.12.08)

【西来院】巨大な龍のアートに蘭の庭園がみどころ

「九華青蓮」

広大な敷地を誇る「建仁寺」の北側に建つのが、塔頭寺院「西来院(せいらいいん)」です。鎌倉時代に南宋から渡来した禅僧・蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が、「建仁寺」の住持となった際に創建しました。

令和10年(2028)の蘭渓道隆750年遠忌を迎えるにあたり、境内の本堂改修工事並びに、本堂前枯山水庭園、玄関前庭園、中庭の作庭、本堂の天井画や二曲一双の屏風絵が完成。春・秋の特別拝観を実施しています。

大改修を機に再び作庭された、玄関前に広がる庭園は「九華青蓮」(きゅうかしょうれん)と名付けられました。緩やかな築山に徳島から移した9つの阿波青石が配され、その様子はさながら蓮の花が開いているようです。

境内から見る庭園

境内にはこの庭園を座って一望できるスペースが設けられています。静けさに包まれた境内でじっくりと時の流れを感じながら庭を眺めるのも素敵ですね。

ほかにも、蘭渓道隆が修行した中国・峨眉山(がびさん)から運んだ3つの巨石が配された、本堂前庭の枯山水庭園・峨眉乗雲(がびじょううん)や、白砂と竹のシンプルな構成が印象的な中庭も見逃せません。

本堂の天井「白龍図」

庭園とともに鑑賞したいのが、多くの現代アート作品です。本堂の天井に描かれているのは、世界的に活躍する中国人アーティスト・陳漫(ちぇんまん)が手がけた「白龍図」。東西13m、南北6mの巨大な空間に2頭の白龍がにらみをきかす光景は、思わずのけぞってしまうほどの圧倒的な存在感です。

特別拝観期間については、公式サイトでチェックを。現代アートや庭園に囲まれた塔頭寺院で、身も心もリフレッシュしませんか?

■西来院(せいらいいん)
住所:京都府京都市東山区大和大路通四条下ル小松町590
TEL:非公開
拝観期間:令和8年は~12月27日
拝観時間:10~17時(法務により時間等変更の場合あり)
拝観料:500円
公式サイト:https://seiraiin.com

■参考記事:【京都】創建以来初の特別拝観を行う西来院(せいらいいん)! 巨大な龍のアートに蘭の庭園がみどころ(配信日:2024.11.04)

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
●この記事は、『るるぶ&more.』の過去に掲載した記事をもとに作成しています。

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